[大蔵弁護士による米国ビザ情報] L関連会社間派遣ビザ – 国外関連会社1年勤務条件の解釈に変更
駐在員がよく使うビザにはE条約ビザとL関連会社間異動ビザがあります。Lビザは、日本やアメリカ国外にも関連会社を持つ多国籍企業がアメリカに駐在員を派遣する場合に利用できるビザです。またEビザとは異なり、Lビザは条約国の社員でなくとも、アメリカ国外の関連会社にいる社員であれば、国籍に関係なく、アメリカの関連企業に派遣することができます。Lビザを利用するには、アメリカの派遣先会社と日本などアメリカ国外にある会社が、本店・支店、親会社・子会社の関係にあり、親会社・子会社の場合には50パーセント以上の株式 (或は所有権) を保有している必要があります。50パーセント未満の株式保有の場合は、実質的に会社経営をコントロールしていることが条件となります。また、同じ株主によって所有・管理されている兄弟会社の関係でも関連会社とみなされます。
派遣社員は、アメリカ入国申請直前の3年間の内最低1年間アメリカ国外の関連会社で役員・管理職、または特殊技能職のポジションで働き、アメリカに役員・管理職、または特殊技能職として赴任する人が対象となります。例えば、日本本社や他国の関連会社でエンジニアとして1年間以上継続して勤務している人は、居住国にてLビザを申請して、渡米することができます。ところが、移民局は2018年11月15日に、どの時点での3年間を対象期間とするかに関し、新しい解釈を発表しました。以前の解釈では、“アメリカ入国申請直前の3 年間”とは、実際にアメリカに入国した日の直前の3年間を指していました。新しい解釈では、“アメリカ入国申請直前の3 年間”とは、Lビザ申請日直前の3年間を指すことになります。例えば、日本のA社で2年間勤務した社員が、後にF-1学生ビザでアメリカに留学し、卒業後OPTでアメリカの関連会社で働いた場合、以前の法律であれば、アメリカに学生ビザで入国した直前の3年間の内最低1年間米国外の関連会社で勤務しているので、この社員はF-1/OPTからLビザに滞在資格の訂正申請をすることができました。ところが、新しい解釈では、Lビザに滞在資格変更申請を提出した時点から過去3年の間、最低1年の国外関連会社で勤務していなければ、Lビザへの変更申請はできなくなりました。従って、学生ビザで入国して2年以上アメリカ国内でF-1学生として就学し、OPTを使って就職していれば、この条件を満たさなくなります。この場合、申請者は一度出国し、アメリカ国外の関連会社で1年勤務すれば、Lビザを申請することができます。
ただし、この新しい解釈には例外があります。つまり、アメリカに入国後、他のビザ種類でずっと関連会社で働いていた場合は、“Lビザ申請日直前の3年間”ではなく、“アメリカへの入国日直前の3年間”を対象期間とみなすことができます。例えば、H-1BやEビザなどの就労ビザでアメリカに入国し、その後ずっとアメリカの関連会社で勤務していれば、アメリカへの入国日直前の3年間の内最低一年間国外の関連会社に勤務していれば、国外1年勤務条件を満たしたとみなされ、EやH-1BビザからLビザに訂正申請を行うことができるということです。ただし、H-1Bで働いた期間はLビザで働いた期間と一緒に換算されますので、Lビザ最長期限からH-1Bで働いた期間を差し引いた期間分のみLビザを申請することができます。しかしながら、最初に学生ビザで入国した場合は、この例外措置は当てはまりません。学生ビザ保持者は、アメリカ国内の関連会社で働く目的で入国したわけではないので、3年間の対象期間を “アメリカに入国直前の3年間”の期間とみなすことができません。この場合、Lビザ申請日時点において、過去3年の内の最低1年間国外の関連会社に勤めていなければ、F-1/OPTからLビザに滞在資格の訂正申請をすることができません。
尚、アメリカ国外の関連会社での勤務経験中にアメリカに短期出張しても、1年間の継続勤務の条件を中断するものではありません。しかし、国外に出ていた期間は1年間の継続期間には換算されません。例えば2018年1月1日から今まで継続してA社に勤務し、2018年度には合計で60日間国外に出た場合、2019年に60日を加算した日 (3月1日) が1年間国外に滞在していた期間となります。
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