[大蔵弁護士による米国ビザ情報] 渡航制限と滞在資格の延長
新型コロナウイルス (COVID-19) のため、各国でのビザ面接の一時的中止されていますが、緊急面接や郵送による延長申請ができる人はビザの申請をすることができます。なお、ブランケットLは郵送でのビザ更新はできませんが、昨年4月からグリーン企業登録者に限定されていたEビザ保持者は、コロナウイルスの緊急事態中はグリーン企業登録でない人の申請も受け付けるようです。ただ、グリーン企業登録でない人の申請はいつでも受付を打ち切る可能性があるので、申請前に米国大使館か米国領事館に問い合わせたほうがよいでしょう。郵送による申請に関しては https://www.ustraveldocs.com/jp_jp/jp-niv-visarenew.asp を参照のこと。
現在日本のアメリカ大使館や領事館では6月以降の面接予約を受け付けていますが、コロナウイルスの状況により、この面接もキャンセルされる可能性はあります。また、面接予約がとれても社内での渡航禁止や航空会社による飛行機のキャンセルなどで日本に戻ることができない人が増えています。アメリカでの任務が終了する人、或はI-94の期限が失効しそうな人は、I-94に書かれてあるアメリカでの滞在期間が失効しないようにアメリカ国内で滞在資格を延長する申請をしなければなません。現時点では15日の特急審査は一時的に中断しているので、申請はすべて普通申請になり、審査に数か月かかります。E、L、H1B、TNなどの短期就労ビザ保持者は、一般に現在のI-94が失効する前に移民局に滞在資格の延長申請をすれば、現在のI-94の滞在期限が失効後も最長で240日まで引き続き就労をすることができます。もし240日以内に結果が出ない場合は、その時点で就労は中止する必要があります。特急審査が再開すれば、就労が中断しないようにすぐに特急申請請願を提出した方がよいでしょう。ただし、H1BやLビザ保持者など最長滞在期限に制限がある場合は、延長申請も最長期限を超えて滞在することはできないので注意が必要です。
なお、Eビザ保持者の場合は、入国する度に新たに2年間有効なビザ滞在期間をもらうことができます。パスポート期限が短い場合は、入国官によっては滞在期間をパスポート期限に限定することもあります。国外に頻繁に出張する社員であれば、I-94の滞在期限が常に更新されているため、家族の滞在期限より長い場合があります。この場合、家族の滞在期限だけ延長する必要がありますので、家族のI-94が失効する前に移民局に社員と同じ期限まで家族の滞在期間の延長を申請します。
アメリカでの任務終了後も日本に帰国できない場合は、渡航ができるようになるまでアメリカ国内で合法的な滞在資格を保つ必要があります。H1B、E、L、O、P、TNビザ保持者は就労開始日前と就労期限終了後にそれぞれ10日間の猶予期間 (Grace Period) が設けられています。この10日間の猶予期間中は就労することはできませんが、国外に出る準備やほかの滞在資格に訂正申請をすることはできます。就労期限の途中で雇用関係が切れた場合、H1B、E、L、O、TN保持者は雇用終了後60日間、或はI-94の残り期限の短い期間まで、アメリカ国内に滞在することができます。雇用終了後の60日間は仕事することはできません。雇用終了、或は猶予期限が切れるまでに日本に帰国できない場合は、事前に移民局にB2観光ビザ滞在資格に変更申請を提出し、渡航できるようになるまでアメリカで待機することができます。ただ、猶予期間は移民局の裁量によるものなので、できれば雇用関係が切れる前に訂正申請を提出したほうが望ましいでしょう。滞在資格変更の申請中に渡航が可能になれば、そのまま出国し、アメリカ国内での滞在資格変更申請を取り下げます。また、コロナウイルスの影響でタイムリーに延長申請をできなかった場合、自分でコントロールできないような特別な事情により提出が遅れたことを説明しなければなりません。移民局が証拠書類を検討し、その特別な事情を認めれば、延長申請を受け付けてもらえます。
ESTAでアメリカに滞在している人は、90日まで滞在が認められます。ESTAはB1/B2短期訪問ビザとは異なり、特定の例外を除いて、通常はアメリカ国内で滞在資格を延長したり変更したりすることができません。ただし、今回のコロナウイルスの影響で国外に出られない場合、移民局のコンタクトセンター (https://www.uscis.gov/contactcenter) に連絡することによりさらに30日の猶予をもらうことができます。もし、この30日の猶予期限内にも出国できない場合は、猶予期限をさらに30日伸ばしてもらうように再度移民局に連絡することができます。
なお、色々な情報が出回っていますが、常に新しい政府の方針が発表されているので、必ず最新情報を確認し、専門家の意見を求めてからアクションを取るように心がけたほうがよいでしょう。
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このコラムは、Taylor English Duma法律事務所の大蔵昌枝弁護士によって執筆されています。大蔵弁護士へのお問い合せは下記の情報を参照下さい。
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