[大蔵弁護士による米国ビザ情報] コロナの影響と学生ビザ
F-1やM-1 (専門学校) の学生は、合法な滞在資格を維持するためにはフルタイムで学校に通う必要があります。また、F-1学生は一学期に一コマ (3 クレジット) までオンライン授業を取ることが許されています。しかしながら、コロナの影響により、全米の各学校で教室内の授業からオンライン授業への変更がみられるようになりました。これに対し、学生・交換訪問者プログラム (SEVP) は2020年3月に、2020年の春学期と夏学期は一学期に一つ以上オンラインクラスをとってよいという暫定的な措置を発表しました。
その後、2020年7月6日には秋学期の授業に関する新しい方針が打ち出され、F-1とM-1学生は秋学期には全授業がオンライン化した学校には通学することはできないと発表しました。国務省はこれらの学校に対するビザの発行を拒否し、また、米国税関・国境警備局はこのような学校への入学目的であれば入国を拒否すると発表しました。7月の新方針では、教室内授業とオンライン授業のハイブリッド形式を採用している学校であれば、一学期にオンラインクラスを一つ (3 クレジット) 以上取ることが許されますが、全授業が完全にオンライン化された場合、教室内授業のある学校に転校するか、或はアメリカを出国して国外でオンラインクラスを取るなどの措置をとらなければ、滞在資格違反となり退去処分の対象となりました。また、M-1ビザ保持者やF-1学生ビザで語学プログラムに通う場合は、オンラインクラスは認められませんでした。
この7月の新方針に対して、7月14日にはハーバード大学とマサチューセッツ工科大学が政府に対し訴えを起こしました。これに対し、政府は7月の方針を撤回し、秋学期の授業に関しては3月時点の方針を継続することに合意しました。従って、現時点での学生ビザ保持者の秋学期に関する方針は以下のようになります。
【アメリカ国内にいる既存の学生】 F-1やM-1学生は非移民滞在資格を維持するためには、フルタイムの授業を受ける必要があります。秋学期の授業は教室内授業でも、オンライン授業でも構いません。学生大学のインターナショナルオフィスのDesignated School Official (DSO) に連絡をとり、もし、コロナの症状がある場合は一学期のクラスの数を減らしてもらうなどの措置をとってもらうことができます。
【アメリカ国外にいる既存の学生】 学生はアメリカ国外からオンラインクラスをとることもできます。アメリカ国内でSEVISシステム上にF-1学生の滞在資格をActiveにしてもらった後に、国外から春、夏、秋学期のいずれか或は全部をオンラインで履修する場合、フルタイムの授業を受けている限りは、F-1の資格を維持したものとみなされます。国外で履修した学期も、OPTやCPTを申請するために必要な一年分の学期履修条件を満たしたとみなされます。また、国外にいる既存の学生はアメリカにもどって教室内やオンラインのクラスをとることもできます。今回コロナの例外措置として、春、夏、秋学期を国外からオンラインで履修した場合、アメリかを5か月間不在にしても、F-1の学生の資格は取り消されません。
【アメリカ国内にいる新規の学生】 アメリカ国内にいる新規学生が既に学校に連絡を取った場合、SEVISシステムに学生滞在資格をActiveにしてもらい、フルタイムの授業を登録します。授業形態はクラス内、オンラインのいずれでも構いません。
【アメリカ国外にいる新規の学生】 新規にF-1ビザを申請する学生、或は既にF-1ビザを取得したがまだ渡米していない学生は、大学に連絡して、入学時期を遅らせてもらうなどのアクションをとらなければなりません。
なお、上記は一般的情報であり、各学校が独自の規定を設けている場合もあるので、必ず学校の規定も確認する必要があります。また、移民法に関しては政府の方針が随時変更しているので、必ず学校のインターナショナルオフィスのDSOに連絡をとり、自分の滞在資格がSEVISシステム上で合法であることを確認することが大切です。
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このコラムは、Taylor English Duma法律事務所の大蔵昌枝弁護士によって執筆されています。大蔵弁護士へのお問い合せは下記の情報を参照下さい。
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