[大蔵弁護士による米国ビザ情報] 渡米前の新型コロナ・ワクチン接種義務

2021年10月25日、バイデン大統領は中国、イラン、シェンゲン圏、英国とアイルランド、ブラジル、南アフリカ、およびインドなど新型コロナの感染率の高い特定国からの入国禁止令を撤回し、11月8日からは、空路で渡米する旅行者に対し、コロナ・ワクチン接種完了を義務づける旨を発表しました。これは米国市民、米国永住権保持者、また移民ビザで渡米する人には適用されませんが、国外やアメリカ国内で永住権を申請する者は、2021年10月1日より既にコロナ・ワクチン接種が義務づけられています。

【コロナ・ワクチン接種】 旅行者は、米国行きの飛行機に搭乗する前に完全に予防接種を受け、予防接種が完了した証拠を提出する必要があります。最後のワクチン接種日から2週間後にワクチン接種完了と見なされます。一回のみのワクチン接種の場合は、接種日から2週間後にワクチン接種完了と見なされます。

航空会社は、旅行者の個人情報を確認し、予防接種記録が接種国の公的機関やワクチン提供認可機関によって発行されたものであり、接種したワクチンが米国食品医薬品局 (FDA) 承認、或は世界保健機構 (WHO) の緊急使用ワクチン・リストにあるなど、米国疾病対策センター (CDC) が定義するワクチン接種を満たしているかを確認します。CDCが認めるワクチンには、ジョンソン・ジョンソン、 ファイザー 、モデルナ、アストラゼネカ、コビシールド、BIBPシノファーム、シノバックが含まれます。

【接種証拠書類】 CDCは、ワクチン接種の証拠として下記の3つの書類を特定しています。

  • 検証可能な予防接種証明書やQRコード付デジタルパス等。
  • 国・地方団体、ワクチン提供認可機関が発行したワクチン接種記録 (CDCワクチンカード) またはコロナ・ワクチン接種証明書等、検証不可能な紙面の証拠。
  • 予防接種カードや予防接種記録のデジタル写真、公衆衛生機関・政府機関・その他のワクチン提供認可機関からダウンロードした記録や予防接種証明書、または、QRコードのない携帯アプリの記録など、検証不可能なデジタル記録。

ワクチン接種には例外があり、18歳未満の子供、CDCが認めたコロナ・ワクチン接種の臨床試験参加者、コロナ・ワクチン接種が医学的に禁忌である人、人道的理由、緊急理由 (健康と安全)、ワクチン接種率が人口の10%未満の国の旅行者でB1/B2以外の非移民ビザで渡米する者、米軍メンバーと配偶者と子供、外交官や政府公式旅行、国連関連任務、海上乗組員、航空会社乗務員、米国への入国が国益に繋がると判断された人などは、CDCが発表している健康と安全のガイダンスに従い、接種免除理由の証拠書類を提出する必要があります。宗教や道徳的信念はワクチン免除の理由とは認められません。また、外交官以外は、FDAやWHOに認可されていないワクチンを接種した者は免除の対象とはなりません。なお、虚偽の検査結果や予防接種カードを提供すると、罰金や懲役刑を科せられる可能性があるので注意が必要です。

【入国後の検査・隔離】 ワクチン接種の例外に該当する旅行者は、米国に入国後にコロナの検査を受け、下記のCDCガイダンスに従う必要があります。

  • 過去90日間にコロナから回復したという証拠書類がない限り、米国に到着してから3-5日後にコロナ・ウイルス検査を受けること。
  • 到着後のコロナ・ウイルス検査結果が陰性であっても、過去90日間にコロナから回復したという証拠書類がない限り、7日間自己隔離を行うこと。
  • 到着後の検査結果が陽性、或はコロナ症状を発症した場合は、自己隔離をすること。

【入国後のワクチン接種】 また、ワクチン接種の例外に該当する旅行者は、米国に入国後60日以内にワクチンを接種しなければなりません。これには例外があり、滞在予定が非常に短い旅行者、予防接種が不適切な年齢の子供、CDC認定のコロナ・ワクチン接種の臨床試験参加者、医学的に接種できない人、自国承認のコロナ・ワクチン接種済の外交ビザ保持者、コロナ・ワクチン接種の保証がないと判断された旅行者などは、コロナ・ワクチンの接種を免除されます。

【渡米前の検査】 この大統領令が発表された後に、さらにコロナ検査に関する追加情報が発表されています。米国市民、米国永住権保持者および移民ビザや非移民ビザで米国に旅行するコロナ・ワクチン接種済の外国人はすべて、搭乗直前の3日以内に行われたウイルス検査の陰性結果の証拠を提出する必要があります。ワクチン未接種の旅行者は、米国市民、米国永住権保持者、またはワクチン接種の例外に該当するか否かにかかわらず、搭乗前日に行われたウイルス検査の陰性結果の証拠を提示する必要があります。

2歳から17歳までの子供も出発前に検査を受ける必要があります。子供が完全なワクチン接種を完了していないが、完全なワクチン接種を完了した大人と一緒に旅行する場合は、ワクチン接種済の大人と同様、搭乗前3日以内に行われたウイルス検査の陰性結果の証拠を提示しなければなりません。子供が一人で旅行する場合は、搭乗前日のウイルス検査の陰性結果の証拠を提示しなければなりません。

尚、ワクチン接種とワクチン検査に関する情報は随時変更する可能性があるので、必ず渡米前の最新の情報を入手し、CDCのガイダンスに従うように心がけることが大切です。

詳細情報は下記のCDCのリンクを参照ください。
https://www.cdc.gov/quarantine/order-safe-travel/technical-instructions.html
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/travelers/after-travel-precautions.html

執筆者について

このコラムは、Taylor English Duma法律事務所の大蔵昌枝弁護士によって執筆されています。大蔵弁護士へのお問い合せは下記の情報を参照下さい。

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