[大蔵弁護士による米国ビザ情報] 配偶者の就労許可証自動延長
2021年11月に米国移民局はH-1Bビザ、Lビザ、Eビザ配偶者の就労許可証 (EAD) の延長申請に関する新しい方針を発表しました。これにより、これらの配偶者は延長申請中は就労許可が自動的に延長されるようになりました。
【就労許可証】 LビザとEビザ配偶者は、駐在員と自分のI-94が有効期間中は就労許可証を申請することができます。H-1Bの配偶者であるH-4ビザ保持者の場合、H-1B保持者が永住権申請を開始しており、さらに次のいずれかの条件を満たしていれば、就労許可証を申請することができます。
- 雇用主スポンサー申請I-140が既に承認されている。
- Labor certification を申請してから既に1年が経過しており、これに基づいてH-1Bを6年目以降も延長している。
これらの配偶者の就労許可証には就労制限がないため、自分の学歴や職歴と関係のない職に就くこともできます。
【延長申請】 これらのEADカードは、有効期限が切れる前に延長申請を提出しなければなりません。永住権申請者やF1学生のOPT就労許可証の申請など、特定のカテゴリーのEADの延長申請には、同じカテゴリー内で現在のEADが失効する前に延長申請を提出していれば、延長申請中はEADが180日間自動延長されます。しかし、H-4、L、Eビザ配偶者には延長申請中の自動延長措置は適用されませんでした。特に、近年新型コロナの影響で、就労許可証申請の審査時間が大幅に長引いており、EADの延長申請中に既存のEADが失効してしまい、新しいカードが届くまでの間、何カ月間も就労ができない状態が続いていました。また、雇用主も何カ月間もポジションを開けておくわけにはいかないので、交代の社員を採用してしまうなど、様々な問題が発生していました。
このために、全米移民弁護士連盟は地元の弁護士集団と共に移民局を相手に訴訟を起こしました。その結果、H-4やL-2配偶者はEADの延長申請中もEADの自動延長措置を受けられるようになりました。移民局の最終発表では、E-2ビザの配偶者も同様にEADの延長申請中の自動延長措置を受けられるようになりました。
自動延長の期限は① I-94の期限、②延長申請の却下日、③延長申請の承認日、④延長申請後180日目、のいずれかの一番早い日までとされます。延長申請中のI-9のList Cの就労資格としては、EADの自動延長に該当する証拠として、新しいEADの受領通知書 (I-797) とともに既存のEADカードと有効なI-94のコピーを提出します。
【LとEビザ配偶者】 その他の変更点としては、移民局は今回の方針で、EとLビザ配偶者のビザカテゴリーは就労できるとしています。2002年度の移民局のメモランダムでは、EとLビザ配偶者は就労許可証を申請しなければ就労はできないとしていましたが、今回の方針により、EとLビザ配偶者は就労カードがなくても就労できるようになります。しかしながら、現実問題として、EやLビザ配偶者のI-94は子供のI‐94と同じ内容で、就労が許可されているという記載がどこにもありません。EADカードは雇用主のI-9のList Cの就労資格の証拠書類として提出することができますが、EADカードがなければ、I-9の就労資格の証拠書類がありません。今後移民局がEとLビザ配偶者のI-94に就労許可の旨を追記すれば、I-94をI-9のList Cの就労できる証拠書類として提出することができるようになります。それまではEADカードを申請したほうが無難だと思われます。
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