[大蔵弁護士による米国ビザ情報] F-1 学生の就労選択肢
学位取得目的の F-1 学生ビザ保持者は学業目的で滞在していますが、特定の条件を満たせば、就学中も就労することができます。
【Practical Training】 学位取得を目的とする学校にフルタイムで9ヶ月以上在籍した学生は、Practical Training という就労許可を申請することができます。プラクティカル・トレーニングには Curricular Practical Training (“CPT”) と Optional Practical Training (“OPT”) の2種類があります。
- CPT とは、大学の授業の一環として単位取得を目的とする就労、もしくは就労経験が学位取得のために必要な経験であると学部が認めた場合に申請することができるものです。CPT で就労するためには、事前に大学の所属学部に雇用内容が学位に関連していることを証明します。学部の許可をもらえれば、インターナショナル・オフィスの Designated School Official (“DSO”) が SEVIS システムに雇用期間を記入し、新たに I-20 を発行します。CPT はパートタイムでもフルタイムでも申請できますが、大学の単位取得のための就労でなければ、学期中は週20時間まで、夏休み中はフルタイムで申請することができます。ただ、CPT をフルタイムで12ヶ月間以上利用した場合、OPT の申請資格を失うので注意が必要です。
- OPT とは、大学の専攻分野で実践的経験を積むことを目的に与えられる就労許可証です。DSO が I-20 に OPT の裏書をし、学生は移民局に就労許可証を申請します。学生は勤め先が変わる都度に学校のインターナショナル・オフィスに報告しなければなりません。卒業前の90日前から卒業後の60日までの間に OPT を最長で12ヶ月間申請することができます。卒業前に OPT を使うこともできますが、学期中は週20時間まで、夏休み・冬休みなどはフルタイムの OPT を申請することができます。卒業後に OPT を申請する際に、卒業前に使った OPT の期間を差し引いた残りの日数分だけ申請することができます。OPT は学位毎に申請することができるので、学士レベルで申請した後、修士号、博士号を取得する度に新規に OPT を申請することができます。
【STEM-OPT】 Science, Technology, Engineering, Mathematics (STEM) など理数系専攻の学生であれば、次の条件を満たせば、OPT 期間をさらに24ヶ月間延長できます。(1) STEM 分野で学士、修士、博士の学位を取得済みであること、(2) OPT 就労資格で米国雇用主のもとで専門分野と関連した職務に従事していること、(3) 雇用主は E-Verify 雇用資格確認システムに登録していること。雇用主は学生の解雇や帰国を大学のインターナショナル・オフィスに報告する義務があります。本年度 H-1B の抽選に当選しなかった STEM 学生は、OPT をさらに延長し、来年度も再度 H-1B を申請することができます。
【キャップ・ギャップ・エクステンション】 H-1B の抽選に当選した人は、H-1B の申請中に OPT が失効しても、H-1B の開始日である10月1日の前日まで OPT の期限を延長することができます。これは移民局に申請書類を提出しませんが、H-1B の受領通知書を学校の DSO に提示し、I-20 に H-1B の自動延長の旨を記載してもらいます。自動的に延長された期間は、H-1B が却下、拒否、もしくは取り消された時点で終了します。
【非雇用期間制限】 注意すべき点は、最初の12ヶ月の OPT 期間中に雇用が合計で90日以上中断すれば OPT が失効してしまいます。また、追加24ヶ月の STEM-OPT 期間は60日以上 (つまり OPT 全36ヶ月間に合計で150日以上) 雇用が中断すれば、OPT が失効してしまいます。したがって、OPT が失効しないように、雇用中断期間が規定日数を超えないように心がけることが大切でしょう。
【ハードシップ】 F-1 学生ビザで一年間フルタイム在籍した学生は、予期できない経済的困難に陥れば、ハードシップによる就労許可証を申請することができます。例えば、学費送金者が病気になり送金不能になった、自国の通貨価値が下落したなど、自分がコントロールできない理由により経済的困難がきたらされたことを証明しなければなりません。
【学校内での仕事】 F-1 学生ビザは、学期中は週20時間まで、夏休み中はフルタイムで学校内の仕事をすることができます。例えば、大学の図書館、コンピューター室、カフェテリアなど、学生にサービスを提供するような職種が該当します。また、学部が企業からリサーチ・プロジェクトなどを請け負っている場合、マスター・レベル以上の学生は学校を通してその企業のリサーチ・プロジェクトに参加することができます。いずれも大学のインターナショナル・オフィスに学校内での就労を申請します。
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このコラムは、Taylor English Duma 法律事務所の大蔵昌枝弁護士によって執筆されています。大蔵弁護士へのお問い合せは下記の情報を参照下さい。
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