[大蔵弁護士による米国ビザ情報] 飲酒運転とビザ

新型コロナの蔓延から3年が経ち、今ではコロナと共存しなければならない世の中となってしまいました。地元でも新年会やイベントが再開するなど、コロナ前の生活に戻りつつあります。その中で、各種イベントでお酒を飲むことも多くなっていると思われます。そこで “ついうっかり”ということにならないよう、アルコールとビザの関連について説明します。

【DUI】アメリカは飲酒運転に対して大変厳しく取り締まっている国で、飲酒運転 (DUI=driving under the influence) で逮捕されると刑法上の罰則が科せられます。アメリカでは車内或は公共の場でふたの開いたビールをもっているだけでも逮捕されるところもあります。また、レストランは酔っ払いに対して無制限に酒を提供することもできません。酔っ払いが後に飲酒運転や人身障害などの事故を起こした場合、酔っ払っていると知りつつ酒を提供した者が責任を問われることもあります。

【ビザ取消】米国内で飲酒運転で逮捕されたら、既存のビザ・スタンプは無効となります。従って、米国内での違反行為の後に出国したら、既存のビザ・スタンプで再度入国することはできなくなります。出国をしたら、オンライン・ビザ申請用紙 DS160 に飲酒運転による逮捕情報を開示し、裁判書類を添付し、再度ビザの申請をしなおす必要があります。

【犯罪の種類】飲酒運転で逮捕された場合、初犯であれば、過去の逮捕歴、違法物所持、第3者に対する人身障害、など重度の追加違反行為がない限りは、ほとんどの州では軽犯罪の判決がいい渡されます。軽犯罪だと、判決文を全うすれば、基本的には滞在資格には影響しません。将来のビザ申請もできますが、毎回ビザ申請時や入国時に裁判記録を提示する必要があります。なお、州により飲酒運転に関する法律が異なるので、必ず違反行為のあった場所の州法を確認することが大切です。

【ESTA】アメリカで犯罪歴があると将来 ESTA (ビザ・ウエイバー) を申請することができなくなります。既存の ESTA を使って入国することもできなくなります。しかし、ESTA が使えない場合、観光や短期出張目的であれば B1/B2 の短期商用・観光ビザを申請することができます。

【裁判記録】犯罪歴や逮捕歴がある人は、ビザ申請時に米国大使館や米国領事館に裁判記録を一式提出します。FBI のバックグランドチェックをされるので、ビザ申請は通常よりも長くかかることがあります。

【健康診断】在外公館は、いままで過去5年以内に飲酒運転の逮捕歴がある人、もしくは過去10年間に2回以上飲酒運転の逮捕歴がある人、またアルコール依存症だと思われる短期ビザ申請者に対しては、大使館指定医師からの健康診断書の取得を要請することがあります。診断の結果、本人が自分自身や社会に脅威や危害を加えるような障害がない、もしくはアルコール依存症ではないと判断されれば、ビザは発行されます。

【入国審査】無事にビザが発行されても、アメリカ入国時に再度過去の犯罪歴や逮捕歴について審査されます。米国市民以外のビザ保持者は永住権保持者も含め、入国時に問題があることが発覚すれば第2次審査室につれていかれ、過去の違反行為に関する書類の提示を求められることがあります。従って、過去に違反歴がある人は警察の逮捕記録や裁判所の判決記録を証拠として持参した方がよいでしょう。いずれにしろ、“飲んだらウーバー!”を心がけましょう。

執筆者について

このコラムは、Taylor English Duma 法律事務所の大蔵昌枝弁護士によって執筆されています。大蔵弁護士へのお問い合せは下記の情報を参照下さい。

1600 Parkwood Circle, Suite 200
Atlanta, GA 30339
Phone: 678-426-4641
E-mail: mokura@taylorenglish.com

本ニュース記事に関する注意事項 (DISCLAIMER)

本雇用・労働・移民法ニュース記事は弁護士として法律上または専門的なアドバイスの提供を意図したものではなく、一般的情報の提供を目的とするものです。また、記載されている情報に関しては、できるだけ正確なものにする努力をしておりますが、正確さについての保証はできません。しかも、法律や政府の方針は頻繁に変更するものであるため、実際の法律問題の処理に当っては、必ず専門の弁護士もしくは専門家の意見を求めて下さい。アイアイアイキャリア、Taylor English Duma 法律事務所および筆者はこの記事に含まれる情報を現実の問題に適用することによって生じる結果や損失に関して何ら責任も負うことは出来ませんのであらかじめご承知おき下さい。