[大蔵弁護士による米国ビザ情報] 米国内でのビザ更新パイロット・プログラム

2023年12月20日に米国国務省は、2024年1月29日から2024年4月1日の期間に、米国内で特定の H-1B ビザ更新申請を受付ける試験的期間を設けると非公式に発表しました。このパイロット・プログラムは、米国内でのビザ更新再開に当たる政府機関の処理能⼒を検討するもので、新型コロナの影響で領事手続きの待時間が著しい国のビザ面接待ち時間を短縮することを目的としています。

【申請資格】 今回のパイロット・プログラムは任意の参加ですが、下記の条件を満たすカナダかインドで発行された H-1B ビザを保持する者に限定されます。H-1B 保持者の家族 (H-4) は対象外となります。

  • 2024年1月29日から2024年4月1日までの期間に H-1B ビザの更新を希望している者。
  • 2020年1月1日から2023年4月1日の間にカナダで発行された H-1B ビザ保持者、または2021年2月1日から2021年9月30日までの間にインドで発行された H-1B ビザ保持者。
  • 非移民ビザの相互発給手数料がかからない申請者。
  • 個人面接免除の対象である申請者。
  • 以前のビザ申請時に10本の指紋を提出している申請者。
  • 以前発行されたビザに “clearance received” という注釈が含まれていないこと。
  • 免除申請を必要とするようなビザ発行を拒否される理由がないこと。
  • 有効な H-1B 承認通知書があり、最近 H-1B で⽶国に⼊国し、⽶国内で H-1B 滞在資格を維持している者。
  • H-1B 滞在期間が失効していない者。
  • 海外に一時的に滞在した後、H-1B で再度米国に入国する予定である者。

ビザ発行枠】 2024年1月29日に申請受付が開始します。国務省はカナダ発行の H-1B ビザ保持者向けに約2,000件、インド発行の H-1B ビザ保持者向けに約2,000件の申請枠を以下の日程で毎週発表します。2024年1月29日;2024年2月5日;2024年2月12日;2024年2月19日;2024年2月26日。一週間に割当てられた枠が達成すると、次週まで申請はできなくなります。この試験期間中に合計で2万件の H-1B ビザを発行しますが、全枠を達成した時点、或は2024年4月1日のいずれかの早い日に終了します。

【申請方法】申請者は国務省のリンク (https://travel.state.gov/content/travel/en/us-visas/employment/domestic-renewal.html) に入り、まずは直近の H-1B ビザ発⾏国 (カナダかインド) を選択します。その後、⼀連の質問に回答し、パイロット・プログラムの参加資格を判断します。資格があると判断されたら、申請者はオンラインで DS-160 に記⼊して提出し、返⾦不可の Visa (MRV) 料⾦をカードで⽀払います。支払いを終えたら、オンラインでパスポートやその他の必要書類の送付方法 (USPS、別の宅配便等) に関する指示を受け取ります。尚、申請後にパイロット・プログラムの資格がないと判断された場合は、ビザ申請費用は返却されないので注意が必要です。

【申請書類】 申請者は DS-160 確認画面、カラーID写真I-797 H-1B 承認通知書原本、I-94 原紙をパスポート原本 (最低6ヵ月有効なもの) と一緒に国務省の指定住所に送付します。申請後は、下記のリンク (https://ceac.state.gov/CEACStatTracker/Status.aspx?App=NIV) から申請状況を確認できますが、ビザの発行、返送、却下以外の状況は確認はできません。ビザの発行まで平均で6から8週間ほどかかる予定です。この試験期間に特急申請はありません。

尚、国務省に申請するビザ・スタンプとは米国に入国するために必要なもので、米国内での滞在期間を延長するものではないので、注意が必要です。米国内での滞在期間は I-94 に記載されており、その期間を延長するためには、米国移民局に延長申請請願を提出する必要があります。

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このコラムは、Taylor English Duma 法律事務所の大蔵昌枝弁護士によって執筆されています。大蔵弁護士へのお問い合せは下記の情報を参照下さい。

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