[激変し続ける米国労働市場] 2. Census データ

米国の国勢調査はアメリカ合衆国国勢調査局 (USCB: United States Census Bureau) により1903年から10年毎に実施されている。僕は1994年からアメリカに在住し、現在に至るまでに実施された2000年、2010年、2020年 (COVID-19 のパンデミックの影響で2年遅れの調査結果発表となった) の3回の結果データを毎回興味深く読んできた。日本にある戸籍制度や住民登録制度がないアメリカでは人口動態を知る上で極めて重要な調査結果である。(現在、戸籍制度があるのは実は日本、中国、台湾だけのようで、むしろこちらの方が特殊である。)  Census は北東部、中西部、南部、西部の4地域 (Region)、その下に9区域 (Division) がある。

調査開始以来、人口増加率では常に西部が1位であったが2000年の調査時において南部が初めて平均人口増加率で第1位になった。これは特筆すべき調査結果であったと当時の報告があったことは記憶に新しい。人口そのものは他地域の数字が大きいのだが、現在に至るまで南部の人口増加率は上昇し続けている。

2010年の調査結果では、代表的な州の比較で見ると北東部・中西部の人口増加がほぼ止まっていることがわかる。2020年で特に注目したのは2010年の調査と比較してイリノイ州では人口減少に転じていることである。まさに南部の時代到来というところである。

参考資料 ブルッキングス研究所 (https://www.brookings.edu/articles/census-2020-data-release/)

我々日本人にとって気になる情報としては、日本語人口の動態がある。アジア系住民では中国語系の人口が最も多く、僅差で2番目がインド系、その次にフィリピン系、韓国系と続く。国別ではインドが2022年で最多となり、次に中国、フィリピン、韓国、日本、台湾となる。この中で日本と台湾はすでに減少傾向に拍車がかかっている。日本人のアメリカへの大量移民時代は100年近く前のことであるのに対して、インド人、中国人、フィリピン人、韓国人の移民は現在活発な状態にある。アメリカ在住の日本人・日系人社会は高齢化が著しく進み、日本国内のそれと同様な動きであることは憂慮すべき事態と考えるべきである。

Census では多くの調査結果が分析・発表されているので、興味のある方はぜひ様々な統計を研究され、自社の今後の計画に役立てられることをお勧めします。


執筆
インテレッセインターナショナルグループ
社長 藤原昌人
1994年1月に人材会社の駐在員としてニューヨークに赴任。1996年の帰任命令に反して独立・創業。現在、全米11拠点、そして2022年から日本法人を設立し、日米双方で人材ビジネスを展開する。30年に及ぶ人材ビジネスでの知識と経験でビジネスに有益な情報を届ける。