[大蔵弁護士による米国ビザ情報] バイデン政権による移民法救済措置

2024年6月18日、バイデン大統領は大統領の権限を行使し、50万人の不法移民に労働許可を与え、強制送還から保護し、永住権や市民権への合理的な道を提供する新たな Parole-in-Place (“PIP”) という移民法政策を発表しました。この PIP プログラムは特に米国市民と結婚し、米国に最低10年居住している人、またその他の要件を満たす移民を対象としています。このプログラムが施行されれば、2012年の DACA プログラム以来、不法移民に対する最大規模の救済措置となります。PIP 申請者は2024年6月17日時点で下記の条件をすべて満たしていれば、米国内で永住権を申請できる可能性があります。

• 許可なくしてアメリカに入国し、滞在している。
• 米国に最低10年間滞在している。
• 米国国民と合法に結婚しているか、米国市民と継子関係にある。
• 特定の犯罪歴や国家安全保障または公共安全に対する脅威がないこと。

PIP は一回に3年間有効で、最長3年間の就労許可を申請することもできます。PIP の資格に関しては各申請者の状況を審査されますが、PIP が認められたら、承認から3年以内にグリーンカードを申請をすることができます。

DACA 受給者や Dreamers は、アメリカの大学学位を保有し、アメリカの雇用主から学位と関連するポジションへの雇用オファーをもらっていれば、H-1B などの短期就労ビザを申請できる可能性もあります。Dreamers とは、幼少期に米国に不法入国し、アメリカで学校に通い、自分をアメリカ人だと認識している子供を指します。多くの Dreamers はティーネージャーになり、運転免許が申請できない、大学に申請できないなどの状況下に置かれて、初めて自分が不法移民であることに気が付きます。これら Dreamers の多くは既に社会の一員となって生活していており、学業や技術を有する者が数多く存在します。DACA とは Deferred Action for Childhood Arrivals の略称で、オバマ政権がこのような Dreamers に対し、一定の条件を満たせばアメリカに短期的に滞在し、就労できるように設けた救済プログラムのことです。現在 DACA の資格で就労しているものは数多く存在し、それぞれの資格やスキルを使って社会の様々な分野に貢献しています。

PIP の申請方法に関しては、今年の夏以降に政府から発表があるので、それまでは申請書類は提出できません。また、このプログラムが施行されるまでは、内容に訂正が加わる可能性があるので、政府の発表を確認することが大切です。

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