[激変し続ける米国労働市場] 13. アメリカでビジネスに人気のある州とは?
日本人にとってよく知られたアメリカの州としてはカリフォルニア州、そしてニューヨーク州(厳密に言えばニューヨーク市)。観光で言えばハワイ州も含まれますが、果たしてビジネスではどうでしょう?

日本人にとっては観光で有名な州とビジネス進出の州がどうも一致しているように見えてしまいます。別の言い方をすれば、その他の州は日本人とってはあまり知られておらず、未知の世界なのかもしれません。
日本では今も東京にすべてが集中しているのに対して、私がかつて合計7年間住んでいたドイツと同様にアメリカは明らかに分散型の国です。カリフォルニア州やニューヨーク州は就労者保護が著しい州であり、ビジネスの観点からすると進出するときのデメリットも大きいように思います。テキサス州やフロリダ州、テネシー州、ワシントン州など、合計で7州には州所得税がありません。特にテキサス州やテネシー州は住宅が広く、物価も比較的安いことは大きな魅力です。テキサス州のダラスに本社を移転させる企業は増え、ジョージア州のアトランタはハリウッドから多くの映画会社が移転し、渡辺謙が主役のゴジラシリーズの一つはアトランタで撮影が行われました。アメリカ南東部は中西部同様、製造業が主力ですが、アトランタは「南東部のマンハッタン」を目指しているのか、エンタメ、サービス業が増え、南東部の中心地として今までとな違った姿で成長を模索しています。オハイオ州、インディアナ州、ケンタッキー州、ノースキャロライナ州、アラバマ州、ケンタッキー州などもその地域の特徴を考慮して進出企業が増加しています。

半導体ではアリゾナ州などもビジネスではクローズアップされている州です。近年では、人件費が圧倒的に安いカンザス州も企業進出州として注目を集める州となってきました。
ニューヨークやロサンゼルスはアメリカの東西海岸に位置し、そこから全米営業を考えると、出張に6時間以上を要するとこが多くあります。これに対して、アメリカの中心地からの営業であれば3〜4時間での移動が可能です。メリットを考えると様々な選択肢は増えるのではないかと思います。
高速インターネットが整備され、全米の多くの地域で産業が活発化していく姿を見ているとアメリカの成長はまだまだ続くことでしょう。
日本でも東京一極集中から地方の特色を活かして産業の分散化と雇用増大、更には国際化が進むといいですね。
執筆
インテレッセインターナショナルグループ
社長 藤原昌人
1994年1月に人材会社の駐在員としてニューヨークに赴任。1996年の帰任命令に反して独立・創業。現在、全米11拠点、そして2022年から日本法人を設立し、日米双方で人材ビジネスを展開する。30年に及ぶ人材ビジネスでの知識と経験でビジネスに有益な情報を届ける。