「南部」だけじゃないアトランタ:移民がつくる食の都 × アートが息づく街を歩く

アトランタといえば、「南部最大のビジネス都市」「黒人文化の中心地」そんな印象が強いですよね。でも、実際に住んだり歩いたりしてみると、その奥には もっとゆたかでカラフルなアトランタ が広がっています!
移民の人たちが持ち寄った多彩な“食の世界”があったり、気づけばアートがそっと街角に溶け込んでいたり。どれも決して派手ではないのに、ゆっくりと、この街の雰囲気を形づくっている存在です。
こんなふうに「食」と「アート」が生活の中で自然に重なり合っているのを見ると、
アトランタは“南部らしさ”のその先に多文化が折り重なる面白い街なんだと気づきます。
1|移民がつくる“もうひとつのアトランタ”——食の楽しさが深い!
■ Buford Highway:まるで“国境がない”フードストリート
アトランタ北東のBuford Highway(BuHi)は、韓国・中国・ベトナム・メキシコ・中米・エチオピアなど、いろんな国のコミュニティがぎゅっと集まるエリア。
看板も聞こえてくる言葉も、それぞれの国そのもの。
観光地というより、移民の人たちの“リアルな日常の味”がそのまま並んでいる場所です。
アトランタの「食が豊か」と言われる背景には、この BuHi の存在が大きく影響しています。
■ 日本人に親しみやすい料理:まずはコレから!
多国籍フードというと、“スパイシーで冒険的”なイメージがあるかもしれません。
でもアトランタには、実は 日本人の味覚にしっくりくる料理 がとても多いんです。
ベトナム料理のように日本でも馴染みのあるジャンルはもちろん、その先にある少しめずらしい料理も、試してみると意外な“やさしい味”に出会えたりします。
アトランタにいる今だからこそ、ちょっとだけ世界を広げる気持ちで、次の一皿に挑戦してみませんか?
🇻🇳 Vietnamese Cuisine(ベトナム料理)

● ブン(Bún / Bún)
フォーより細い米麺で、スープ仕立てのものから、甘酸っぱいタレ (Nước mắm / ヌクマム) をかけて食べる“和え麺スタイル”までいろいろ。野菜やハーブがたっぷりで、軽くてサラッと食べられるのが魅力です。
パクチーが苦手な方は、“No cilantro please” と伝えれば抜いてもらえます。初めてでも「これ好き!」となりやすい、やさしいベトナム料理です。
● バインミー(Banh Mi / Bánh Mì)
具だくさんのサンドイッチで、朝食にもランチにもぴったり。焼きたてのパンに人参と大根のピクルス (Đồ chua / ドーチュア) は、まさに日本の“なます”のような味!ハラペーニョが入ることが多いので、辛いのが苦手な方は“No jalapeño” と一言伝えてみてくださいね。
● 揚げ春巻き(Fried Spring Rolls / Chả Giò)
生春巻きは日本でも定番ですが、ぜひ 揚げ春巻き(チャーゾー) も試してみてほしい一品。お店によって具材が違い、
- ベトナムソーセージ(Chả lụa)
- ニラ
- ひき肉と春雨
- タロイモ
- エビ
などなどバリエーションがとても豊富です。
外はカリッ、中はジューシー。レタスやミントと一緒に食べたり、ブンの上にのっけたり。ご飯にもビールにも合う、実は“日本人受け No.1”のことも多いメニューです!
🇲🇽🇬🇹 Mexican / Central American Cuisine(メキシコ・中米料理)

● タコス(Tacos)
肉・玉ねぎ・香草だけのシンプルなタコスは、実は非常に食べやすいメニュー。
牛肉(Carne Asada)、豚肉(Carnitas)、鶏肉(Pollo)など、具材を選んで、サルサの種類で辛さを調整すれば、お子様でも美味しく食べられます。パクチーが苦手な方はここでも “No cilantro” と伝えればOK!
さらに、ぜひ試してほしいのは 緑色のサルサ「Salsa Verde(サルサ・ベルデ)」。青唐辛子やトマティーヨで作られた爽やかなサルサで、真っ赤なサルサよりも辛味がマイルド。
タコスや他の料理に少し添えるだけで、一気に本場感がアップします。
● カルニータス(Carnitas / 豚肉のほろほろ煮込み)
じっくり煮込んだ豚肉で、甘辛のバランスが絶妙。日本の「角煮」に近いしっとりした旨味があって、ご飯にも相性バツグンです。
● トルティーヤスープ(Tortilla Soup / Sopa de Tortilla)
鶏出汁ベースのあったかいスープ。辛さ控えめで、具沢山の“メキシコ版お母さんのスープ”のようなやさしさがあります。
🇪🇹 Ethiopian Cuisine(エチオピア料理)
● ワット(Wot)
日本ではあまり見かけないエチオピア料理ですが、ワットは香り豊かなスパイスで煮込んだシチューとカレーの間のような料理。辛さを選べるお店が多く、mildなら スープカレーのようなまろやかさ 。チキン(Doro Wot)や豆のシチュー(Misir Wot)が定番です。
● インジェラ(Injera)+ 野菜や豆の副菜
独特の酸味がある、ふわっとしたクレープ状の生地 インジェラ に、さまざまな煮込みや副菜をのせて一緒に食べる、エチオピア伝統のスタイル。インドのナンやメキシコのトルティーヤのように“主食でおかずを包む”感覚にも通じていて、もちっとした食感がクセになります。
味の想像がつかないと、最初は少しハードルが高く感じるかもしれませんが、 豆の煮物(Shiro) や 野菜の炒め煮(Atkilt) など、実はとてもやさしい味のものが多いんです。新しいものにチャレンジしたい方はぜひ!
2|アートが息づく街:自然体な“クリエイティブさ”が心地いい

■ BeltLine:街そのものがギャラリーみたい
BeltLine の遊歩道を歩くと、壁いっぱいのミュラル、立体作品、ポップなカラー、社会派テーマのアート…とにかくアートが生活と一緒に呼吸している街だと感じます。
「どこかの誰かが描いた作品」ではなく、街に住む人の空気感ごとアートになってる、みたいなやわらかさが魅力。ジョギングしてるだけでアートに出会える、そんな日常ってちょっと素敵ですよね。
■ Ponce City Market:古い倉庫 × 新しいクリエイティブ
Ponce City Market は、旧倉庫をリノベした複合施設。レトロな建物に、今どきのセンスとローカルブランドの活気が混ざっていて、歩いてるだけでインスピレーションが湧くような場所です。
買い物だけじゃなく、アートの展示やポップアップも多いので、“アトランタらしい創造性”を気軽に感じられます。ちょっとひねりの効いたプレゼントや、家に飾るアートなどを探してる方にもおすすめです。
■ 映画の街としてのアトランタ:今も残る“撮影の余韻”
アトランタはここ10年、映画・ドラマの撮影がとても盛んで、街のあちこちが世界的作品のロケ地になってきました。
近年は州の制度や業界の動きもあり、大型作品(例えばMarvel 系など)は少しずつ別地域へ移っているともいわれます。それでも、撮影スポットそのものは街のなかにしっかり残っていて、歩いていると「あ、この場所見たことある!」という瞬間があるのもアトランタの面白さ。
🎬 アトランタを舞台に撮影された作品
- Marvel作品(Avengers / Guardians など)
→ Downtown や Fayetteville 周辺で多数撮影 - Stranger Things(ストレンジャー・シングス)
→ ジョージア州 Jackson(アトランタから車で約1時間) - Hunger Games(ハンガー・ゲーム)
→ Marietta の歴史的建築物などで撮影 - The Walking Dead(ウォーキング・デッド)
→ Senoia(町全体が“聖地”化)
映画やドラマが好きな人には、ちょっとした宝探しみたいな楽しさがあります。
アトランタは“南部っぽさ”だけで語れない街
アトランタは“南部っぽい”とくくってしまうにはもったいない街です。確かに、南部ならではの文化や歴史が深く息づいていますが、そこに移民コミュニティが持ち寄った食文化が加わり、さらに街のあちこちにアートが溶け込むことで、アトランタ独自の、多層的であたたかい魅力がどんどん強くなっています!
古い歴史と新しい文化が肩を並べて存在している。その“混ざり合う感じ”こそが、アトランタらしさだと感じます。
そして、こうした魅力は、住んだり働いたりした人にしか見えてこない部分でもあります。iiicareer Atlanta オフィスでは、日系企業・コミュニティと日々関わる中で、外から見るだけでは気づけない“リアルで面白いアトランタ”をたくさん見てきました!これからも、地域で暮らす方や、これからアトランタを訪れる方に向けて、この街の魅力を丁寧に発信していけたらと思っています。
アトランタ・南部についてはぜひこちらのブログもご覧ください:
アトランタ移住と就職
アメリカ企業と日系企業の発展

