401⒦ロールオーバー、賢く行うには?

 401⒦は、会社員が退職資金を貯める最も一般的な方法の一つです。しかし、転職や退職の時期になると、401⒦口座をどうすべきか悩むことがあります。ここで検討できるのが、401⒦ロールオーバーです。ロールオーバーとは、既存の401⒦資金を別の退職口座に移すことを指し、主に3つの選択肢があります。

1、新しい職場の401⒦へのロールオーバー

 最も簡単な選択肢の一つは転職先の会社が提供する401⒦プランに既存の資金をロールオーバーすることです。この利点は以下の通りです。

 管理の簡素化: 複数の退職口座を個別に管理する必要がなく、一元的に管理できます。

 高い拠出限度額:  401⒦は個人退職口座(IRA)よりも年間拠出限度額が高く、より多くの資金を積み立てることができます。ただし、新しい職場の401⒦プランが提供する投資オプションが多様でなかったり、手数料が高かったりする場合がある点がデメリットです。

2、個人退職口座(IRA)へのロールオーバー

 既存の401⒦資金を個人退職口座(IRA)にロールオーバーすることは、非常に人気のある選択肢です。IRAは投資家により広範な投資選択肢と柔軟性を提供します。

 多様な投資オプション: 株式、債券、ミューチュアルファンド、ETFなど、はるかに多様な投資商品にアクセスできるため、自身の投資目標に合わせてポートフォリオを構築しやすいです。

 低い手数料: 一般的に、401⒦よりもIRA口座の管理手数料が低いか、全くかからない場合が多いです。

 ただし、IRAにロールオーバーする場合、401⒦が提供する特定の法的保護(例:債権者からの保護)を失う可能性があること、また特定の状況ではロールオーバーの規則を誤解して税金問題が発発生する可能性があることに注意が必要です。IRAにはTraditional IRAとRoth IRAがありますが、既存の401⒦が税引き前拠出金であれば、Traditional IRAにロールオーバーすることで税制上の優遇措置を維持できます。Roth IRAにロールオーバーする場合は、移行時に税金を支払う必要があります。

3、 既存の401⒦口座に資金を保持

 場合によっては、既存の職場の401⒦口座に資金をそのまま残しておくことも選択肢になります。これは、特に既存のプランの手数料が低く、投資オプションが満足できる場合に該当します。

 シンプルさ: 別途ロールオーバーの手続きなしに資金をそのまま維持できます。

 潜在的な法的保護:  特定の状況では、401⒦はIRAよりも強力な債権者保護を提供する場合があります。しかし、新たな資金の拠出が不可能であること、また会社との関係が途切れると口座管理に関する情報へのアクセスが低下する可能性がある点がデメリットです。

4、ロールオーバー時の注意事項

 税金の問題: ロールオーバーは基本的に税制上の優遇措置を維持することが目的ですが、直接ロールオーバー(Direct Rollover)ではなく間接ロールオーバー(Indirect Rollover)を選択した場合、60日以内に新しい口座に資金を入金しなければ、引き出しとみなされて課税され、59・5歳以前の引き出しには早期引き出しペナルティ(10%)が課される可能性があります。したがって、可能な限り直接ロールオーバーを選択することが安全です。

 手数料の確認: 新しい職場の401⒦やIRAにロールオーバーする前に、各口座の手数料体系(管理手数料、投資商品手数料など)を必ず確認してください。

 投資目標の再設定: ロールオーバーは、退職資金ポートフォリオを見直し、自身の長期的な投資目標に合わせて調整する良い機会です。

 結論としては401⒦のロールオーバーは本人の財政状況と年齢によって投資を慎重にする必要があり、必ず専門家と相談してから決定することをお勧めします。

(さくら新聞・2025年7月号より転載)

プロフィール: 呉 尚祐(オ  サンウ)
 Financial Services Professionalエージェント。VA州アナンデールとTX州ヒューストン、ダラスにオフィスを構え、生命保険、Index Annuity、IRA、教育資金、401KのRoll Over、相続プランなどを扱う。1996年から2008年、東京丸の内で日本の大手電機メーカーでの勤務経験あり。電話410・979・2334。Eメールohswinner@gmail.com


「賢い引退計画・資金運用を」は現在、ワシントンDCとヒューストンで発行されている「さくら新聞」にて好評連載中です。さくら新聞には他にもためになるコラムが多数掲載されています。ウェブサイトでもお読みいただけます。


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