“お客様の視点 ”を忘れず 一緒に成長していきたい

ジェフ・メドウズ空港所長
ワシントン・ダレス国際空港
全日本空輸(ANA)ワシントン支店 

沖縄で過ごした日々、ANAとの出会い

 ーまずは自己紹介をお願いします。幼少期や学生時代のこと、そしてANAに入社されたきっかけ。そして、ワシントン・ダレス国際空港(IAD)勤務はどのように始まったのでしょうか?

 13歳までノーザンバージニアで育ち、その後、両親の仕事で沖縄へ移り住みました。若い時期にまったく違う文化の中で生活できた経験は、とても刺激的でしたし、視野を広げてくれたと思います。日本、それもとくに沖縄に駐在した人は、多くがファンになってアメリカに帰ってきます。私の家族もそうでした! 私が学業でバージニアに戻ってからも、両親は沖縄に暮らし続け、なんとその後10年も沖縄ですごしました。

 大学と大学院の間に短期のアルバイトを探して派遣会社に登録に行った時、ちょうど書類を書いているその最中に、偶然ANAからエージェントへ電話がかかってきたんです。最初は4か月のアドミの短期ポジションでしたが、その場で「やります」と即決しました。

 その4か月が終わる頃、ANAから「正社員として続けてみないか」と声をかけていただき、大学院への進学ではなく航空の世界で生きていく決心をしました。気付けばもう37年。航空業界は本当に面白い世界です。多様性があり、新しいテクノロジーが次々と入ってくる。そのダイナミズムに惹かれ続けています。

 ーANAに入社して30年以上。「継続は簡単ではない。だからこそ価値がある」というその原動力は何でしょうか? そして “この仕事を選んで良かったな” と感じる瞬間は?

 一緒に働く素晴らしい仲間、尊敬できる会社の文化、そして人々の生活につながる大切なサービスに携われていること——それが大きな原動力になっています。コロナ禍で運航が止まった時期もありましたが、運航再開に向かう中で、人々の「つながりたい」「旅をしたい」という気持ちを強く感じました。ANAが安全と快適さ、そして“再び世界とつながる機会”を提供できる存在であること。その責任と誇りは、ずっと私たちを支えてくれています。

 ーDC/バージニア/メリーランド在住の日本人にとって、ダレス空港発着のANA便は“帰国の定番”。ステーションマネージャーとして、ANAらしい「あんしん、あったか、あかるく元気!」なサービスを提供する上で最も大切にしていることは?

 日本式のおもてなし(Omotenashi)も大切ですが、まず最上位は「安全」です。空港オペレーションのすべての判断は、まず安全から始まります。その上で、快適で心地よい体験をつくります。スカイトラックス(Skytrax)などの受賞は、私たちの方向性が間違っていないことを客観的に示してくれる大切な指標です。そしてANA全体として、いま特に重視しているのが「ヒヤリ、ハット(near miss)」です。事故には至らなかった小さな違和感や兆候を、見て見ぬふりをせず共有し、記録することで、パターンを読み取り、大きな事故を未然に防ぎます。毎朝のブリーフィングはそのための重要な時間です。観察したこと、不安、気づき、小さいものも大事にします。小さなサインを見逃さないこと。これが私たちが安全と良いサービスをみなさまに届け続けるために崩さない姿勢です。

 ー会社内外で数多くの受賞歴がありますが、特に印象深いものは?

 英国の航空格付け会社のスカイトラックスの「World’s Best Airlines」に12年連続で選ばれ、米国のAPEX(エアライン・パッセンジャー・エクスペリエンス・アソシエーション)の「World Class」にも認定されたことは、大きな誇りです。ANAは国際線を運行して以来、国際水準のサービスを追求してきました。その確実なあゆみが外部から評価され続けていることは本当に嬉しいことです。

 ー“日本人以上に日本人っぽい!"と言われることもあるジェフさんですが、日本文化のどんなところに惹かれますか?

 日本に住んだ経験から、お互いを尊重し合う文化や礼儀をとても大切に感じています。私はその距離感をとても心地よく感じますし、お互いを尊重しようという敬意が、新しく入ったスタッフでもすぐに馴染める環境につながっていると感じます。

全員がチームの一員として貢献しているからこそ生まれる空気感が、“ここで働き続けたい” と思える理由なのだと思います。ANAのオフィスには、そうした日本的な価値観が自然に息づいています。

ダレス空港のANA送迎チーム(右端がメドウズさん)

良いサービスは良いチームワークから

 ーダレス空港のANAチームは“息の合った連携と笑顔"で知られています。チームを率いていく上で、特に大切にしていることは?

 常に“お客様の視点”を忘れないことです。遅延やご不便が発生したときには、自分をお客様の立場に置き換えて、私たち自身が受けたいと思うサービスを届けるようにしています。そして、スタッフを支えることも大切です。スタッフが安心して働けるからこそ、良いサービスが生まれます。毎日学ぶ姿勢も大事です。新人からベテランまで、一緒に成長していける環境でありたいと思っています。

 ー空港業務は体力的にもハード。リフレッシュの時間はどう過ごしていますか?

 この仕事をしていると、世界中からメールが届くので、やろうと思えば仕事は終わりがなく続いてしまいます。だからこそ、リセットする時間を意識的に作っています。私は“外に出ること”がバランスになります。近くの山へハイキングに行ったり、パンデミック以降はガーデニングも楽しんでいます。ときに失敗もしますが、夏にはトマトやゴーヤを育て、この秋はにんじん、ケールなどの野菜にも挑戦しました。野菜を育てる時間はとても落ち着きますね。

 ーインテレッセのスタッフも多くダレス空港で活躍しています。現場で働くインテレッセメンバーについての印象、そして今後どんな期待をしていますか?

 とても心強いチームだと思っています。スケジュール管理やトレーニングを支える優秀なスーパーバイザーがいて、日本語力が求められる場面では、インテレッセのスタッフが確かな力を発揮しています。トレーニングは長く大変なこともありますが、成長し、自信を持ち、やがてリーダーシップを発揮するようになる姿を見られるのは大きな喜びです。採用からトレーニングまで、インテレッセにはしっかりサポートしていただいています。

 ーワシントン首都圏(DMVエリア)の日本人コミュニティーのなかには、主婦の方、OPTの学生の方など「空港で働いてみたい」と興味を持つ方もいらっしゃると思います。そんな方にメッセージをお願いします。

 空港の仕事は“意味のある仕事”です。動きがあり、変化があり、決して単調ではありません。人に寄り添うことが好きな方にとっては、まさに“旅そのものを支える仕事”です。ここで身につくスキルは、さまざまなキャリアに生かせます。テクノロジーは常に進化していきますから、若くても、年齢を重ねていても、学び続けることができます。

 パートタイムのポジションから、フルタイムへの機会が生まれることもありますし、人と接することが好きな方には、とても魅力のある環境だと思います。もし、このインタビューを読んで興味を持ってくださった方がいらしたら、いつか「あなた」と一緒に働ける日を楽しみにしています!

 ー 最後に、さくら新聞読者のみなさまへメッセージをどうぞ。

 ダレス空港でみなさまをお迎えできる日を、心から楽しみにしています。なかには30年以上ANAを選び続けてくださっているお客様もいらっしゃいます。みなさまの長いご愛顧に心から感謝いたします。そして、これからも選んでいただける存在であるために、努力を続けてまいります。私たちは“フライト”だけではなく、旅の計画、空港までの移動、目的地での体験、お客様の旅に関する一連の時間そのすべてが、良い思い出になることを願っています。

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さくら新聞・2025年12月号より転載
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