[大蔵弁護士による米国ビザ情報] REAL ID 準拠
2025年5月7以降、各州政府発行の運転免許書や身分証明書は REAL ID に準拠することが義務付けられます。REAL ID とは、9/11 委員会の勧告を受けてテロ防止を目的として2005年に制定された法律です。この規定は、連邦施設や原子力発電所への立入り、民間航空機への搭乗、空港セキュリティ・チェックポイントを含む連邦施設へアクセスするために提示する州発行の運転免許証および身分証明書の発行最低基準を設けています。
【REAL ID 準拠カード】18歳以上の旅行者は、空港のチェック・ポイントで有効な身分証明書を提示する必要があります。18歳未満の子供は同伴者と国内で旅行する場合は、身分証明書の提示は求められませんが、同伴者は適切な身分証明書を提示する必要があります。REAL ID 準拠州によって発行された免許証または身分証明書には、下記のような REAL ID 準拠の星マークが含まれます。
州発行の運転免許証または州発行の身分証明書以外にも、REAL ID 準拠カードとして受け付けられる身分証明書には次のものが挙げられます。米国パスポート、米国パスポートカード、外国政府発行のパスポート、入国カード (Global Entry、NEXUS、SENTRI、FAST)、米国国防総省の身分証明書、グリーンカード、国境通過カード、連邦政府公認の米国原住民部族発行の写真付身分証明書、HSPD-12 PIV カード、カナダ州運転免許証またはカナダ先住民・北方省カード、運輸労働者身分証明書、米国就労許可証 (I-766)、米国商船員資格、退役軍人健康識別カード (VHIC) など。これらの書類には星マークが含まれていませんが、REAL ID 準拠文書として受け付けられます。航空機搭乗時に受け付けられる身分証明書の詳細については、TSA のウエブサイトで確認できます。
https://www.tsa.gov/travel/security-screening/identification
【EDL カード】Enhanced Drivers Licenses (EDL) も REAL ID 遵守書類として認められます。EDL とは、ミシガン、ミネソタ、ニューヨーク、バーモント、ワシントンの5州が米国市民住民に発行している運転免許証のことで、カナダ、メキシコ、カリブ海諸国から陸路または海路の入国港を経由して米国に入国する際にも国境通過文書としても認められる書類です。
【海外旅行】国内旅行の場合は REAL ID 遵守の有効な身分証明書が一つ必要ですが、海外旅行の場合は必ずパスポートも一緒に持参する必要があります。REAL ID カードは、カナダ、メキシコへの国境通過やその他の国際旅行には使用できません。また、国際海上クルーズ旅行にも使用できないので注意が必要です。
【申請方法】REAL ID カードの申請には 氏名、生年月日、社会保障番号、住所証明、および 合法的な滞在資格を示す書類などの提示が必要ですが、各州によっては追加情報を求めることもあるので、申請方法や必要書類については地元の運転免許オフィス (DMV) のウェブサイトで確認する必要があります。連邦政府はもはや SSN (社会保障番号) 書類の提示を求めていませんが、州によっては関連書類を求めることもあるので、確認が必要です。SSN カードがない場合、SSN の確認書類として次のものが挙げられます。W-2 フォーム、SSA-1099 フォーム、SSA-1099 以外のフォーム、または申請者の名前と社会保障番号が記載された給与明細書。
2025年5月7日以降、REAL ID 準拠の運転免許証または連邦政府に認められた代替書類を提示しない旅行者は、セキュリティ・チェックポイントを通過できなくなるので、REAL ID は早めに申請したほうがよいでしょう。特に飛行機に搭乗する人で5月7日前に出発し5月7日以降に戻る場合は、既存の REAL ID 準拠をしていない州政府発行の運転免許証や身分証明書で出発することはできますが、同じ書類で帰りの航空機に搭乗できなくなるので、注意が必要です。
執筆者について
このコラムは、Taylor English Duma 法律事務所の大蔵昌枝弁護士によって執筆されています。大蔵弁護士へのお問い合せは下記の情報を参照下さい。
1600 Parkwood Circle, Suite 200
Atlanta, GA 30339
Phone: 678-426-4641
E-mail: mokura@taylorenglish.com
本ニュース記事に関する注意事項 (DISCLAIMER)
本雇用・労働・移民法ニュース記事は弁護士として法律上または専門的なアドバイスの提供を意図したものではなく、一般的情報の提供を目的とするものです。また、記載されている情報に関しては、できるだけ正確なものにする努力をしておりますが、正確さについての保証はできません。しかも、法律や政府の方針は頻繁に変更するものであるため、実際の法律問題の処理に当っては、必ず専門の弁護士もしくは専門家の意見を求めて下さい。アイアイアイキャリア、Taylor English Duma 法律事務所および筆者はこの記事に含まれる情報を現実の問題に適用することによって生じる結果や損失に関して何ら責任も負うことは出来ませんのであらかじめご承知おき下さい。