[激変し続ける米国労働市場] 6. 在宅勤務、ハイブリッド勤務希望者の急増

COVID-19 のパンデミックを経験し、就労形態についての変化も著しいものとなったことを実感している。コロナ禍で在宅勤務を奨励した企業は多く、中にはアメリカ国外からの勤務も可能にした企業もあった。会社所在地へのフルタイム通勤が想定できない場所に転居し、中には家を購入している人々もいる。数年間に及んでこのような体験をすると、それまでのように毎日の通勤を希望する求職者が大幅減少していることは理解できる。このような経験をすると今まで言えなかった自身の希望を明確に主張する人が増えるのは当然であろう。近年、当社のリクルーティング・コンサルタントから日々の業務報告で、特にこの話題をよく耳にするようになった。そこで興味もあり、実態を知るために当社の管理データベース Job Navigator の登録者に向けて勤務形態の希望調査を始めた。途中経過ではあるが、在宅勤務希望者が圧倒的に多いのはカリフォルニア州。そのほか、ニューヨークやワシントン DC などの都市周辺の登録者にもその傾向が表れている。日本ではまだ大都市周辺に企業が集中し、再出社を要請しているところが多いようだが、アメリカではコロナ禍のはるか以前、インターネットスピードが全米どこでも十分に使えるレベルになると、企業そのものが大都市から移動し、全米での分散に寄与している。全職種で在宅勤務が可能とは言えないが、ソフトウェアが拡充している会計・ペイロール、システム開発、コンサルティング、デザイン、営業、リサーチ、ある種のカスタマーサービスなどの業務では在宅勤務、ハイブリット勤務希望者を受け入れることは時代の流れでもある。将来を見据えて人材確保には通勤一辺倒ではない柔軟な対応、人事管理制度の再構築が求められる。


執筆
インテレッセインターナショナルグループ
社長 藤原昌人
1994年1月に人材会社の駐在員としてニューヨークに赴任。1996年の帰任命令に反して独立・創業。現在、全米11拠点、そして2022年から日本法人を設立し、日米双方で人材ビジネスを展開する。30年に及ぶ人材ビジネスでの知識と経験でビジネスに有益な情報を届ける。