[大蔵弁護士による米国ビザ情報] ビザ面接免除の停止

国務省は、9月2日より各国の米国大使館や米国領事館での非移民ビザ面接免除の対象範囲を大幅に縮小すると発表しました。以前は E 条約ビザ、H-1B 専門職ビザ、L 国際企業間転勤 (L ブランケットを除く)、F 学生ビザを含む非移民ビザの申請者の延長申請は、ビザスタンプが過去12ヶ月以内に失効していれば郵送による申請をするオプションがありました。しかし、新方針ではこれらの申請者も対面面接が義務付けられるようになります。また、今まで長年にわたって面接が免除されていた14歳未満の子ども、および79歳を超える高齢者も面接を義務付けられるようになります。

【免除対象者拡大の背景】
新型コロナウイルスの影響で、各国の米国大使館や米国領事館で一時的にビザ面接が凍結したり、一日の面接者数が制限されたりしたために、ビザ申請が非常に難しくなっていました。そのような状況を改善するために、同じビザ種類の更新申請者 (L ブランケットを除く) は、既存のビザスタンプ有効である、或いは48ヶ月以内に失効した場合は、面接の免除を受けることができるようになり、多くの申請者はビザ更新を郵送申請することができるようになりました。また、バイデン政権下では、過去にアメリカの特定種類のビザを申請したことがある人は、別の種類での初期申請でも面接が免除され、一時的に郵送申請が認められていました。

しかしながら、新トランプ政権発足後の2025年2月には、国務省により、新型コロナ時代の面接免除の対象範囲が大幅に縮小されました。この変更により、面接免除の対象範囲は、同じビザ種類でビザスタンプがまだ有効であるか、或いは過去12ヶ月以内に失効した場合にのみ限定されました。今回9月の方針により、面接免除の対象範囲がさらに狭まることになりました。

【免除対象者】
新方針では、下記のものが引き続き面接免除の対象となります。

  • A-1、A-2、C-3 (公認職員の随行員、使用人、または個人従業員を除く)、G-1、G-2、G-3、G-4、NATO-1 から NATO-6、または TECRO E-1 のビザ記号に該当する申請者。
  • 外交ビザまたは公用ビザの申請者。
  • 前回のビザの有効期限中或いは有効期限失効から12ヶ月以内に、B-1、B-2、B1/B2 ビザ、或いは国境通過カード (メキシコ国籍者の場合) を更新する申請者で、前回のビザ発行時に18歳以上であった申請者。

B-1/B-2 ビザ申請者は、国籍国または居住国で申請する必要があり、ビザの発給を拒否されたことがなく (拒否が克服または免除された場合を除く)、明らかな不適格性または潜在的な不適格性がない場合にのみ面接免除の対象となります。

ただし、ビザ面接免除対象者であっても、米国大使館あるいは米国領事館の判断で、理由の如何にかかわらず面接に出頭するように要請されることもあります。したがって、申請者は、申請する米国大使館や米国領事館のウェブサイトでビザ申請要件や手続方法、開館・休日状況、サービス内容、緊急情報などを事前に確認したほうがよいでしょう。

【今後の対応】
面接免除の新基準を満たさない申請者は、9月2日以降は、初期ビザ申請、更新申請の人も皆米国外の米国大使館か米国領事館でビザ面接の予約を取る必要がでてきます。面接予約状況は各国の米国領事館やビザ種類によって大きく異なるので、各国の面接状況やビザ面接待ち時間を確認するなど、事前に綿密な渡航計画を立てる必要があるでしょう。さらに、これまで長年にわたってビザ面接対象年齢範囲外であったビザ申請者も、今後は米国領事館への直接出頭が必要となるので、特に幼児や老齢者の面接に対応できるように、事前に準備する必要があるでしょう。この方針の施行により、今後はビザ面接予約が非常に混み合うことが予想されるので、面接予約はかなり早めに抑えたほうが無難だと思われます。

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