[大蔵弁護士による米国ビザ情報] 渡航制限対象国からの渡米方法

トランプ政権による特定の新規ビザ申請の禁止措置はなくなったものの、新型コロナの感染率の高い国からの入国は依然として禁止されています。一般に、渡米前の14日以内に入国制限対象国に滞在した人は、アメリカに入国することができません。現時点においては中国、イラン、ヨーロッパ各国、イギリス、アイルランド、ブラジル、南アフリカ以外にも、最近の変異型ウィルスの発見により、インドも入国制限対象国のリストに追加されました。入国制限対象国のリストは随時訂正されていますので、CDCのサイトを参考のこと。https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/travelers/from-other-countries.html

【緊急面接リクエスト】 なお、入国制限対象国からの直接の渡米は許されていませんが、アメリカのビザを申請することはできます。ただ、地元のコロナの蔓延状況によりビザ面接自体に制限がかかっているために、国によってはなかなかビザの面接予約が取れない状態が続いています。希望時期にビザ面接の予約が取れない場合は、緊急面接リクエストを提出することができます。緊急性が認められれば、早い時期のビザ面接をとることができます。緊急理由としては、医療、 葬儀/死亡、 緊急商用渡航 (会社への損害、3ヶ月以内の研修)、 学生または交流訪問者 (プログラム開始30日以内)、などが該当します。

【アメリカ入国方法】 入国制限対象国でビザが無事に発行されれば、次にアメリカへの入国方法を検討しなければなりません。アメリカ入国予定日から14日以内に入国制限対象国に滞在していれば、一般にアメリカへの入国は認められません。その為、アメリカに入国するためには国益例外を申請する、或は、入国制限のない国に14日以上滞在してからアメリカに入国する方法を検討しなければなりません。

  • 国益例外申請。重要インフラ需要をサポートするために渡米する者、或は学生、報道者、特定の交換訪問者などに該当すれば、ビザを申請した米国大使館或は米国領事館で、国益例外を申請することができます。重要インフラには、化学、通信、ダム、防衛産業基盤、緊急サービス、エネルギー、金融サービス、食品・農業、政府施設、医療・公衆衛生、IT、原子炉、輸送、水システムなどが含まれます。国益例外が認められれば、入国制限対象国からアメリカに直接入国することができます。通常はビザを発行した米国大使館か米国領事館で国益例外を申請しますが、入国予定の空港のCBP (Customs and Border Patrol) で直接申請できる場合もあります。
    • 米国大使館・領事館への申請。通常ビザが発行されたら、その米国大使館か米国領事館で国益例外を申請しますが、申請国によって申請方法が異なります。学生で学期開始間近であれば、別途国益例外の申請をしなくても自動的に国益例外を検討してくれる場合もあるので、米国大使館・領事館のウエブサイトで申請方法を確認する必要があります。
    • 米国CBPへの申請。アメリカの入国先空港によってはCBPが独自の入国規定を設けており、滞在先の米国大使館や米国領事館が閉鎖などの理由で国益例外を申請できない場合、或は米国大使館や領事館からの回答がなかなかこない場合などは、その理由を説明して直接にCBPに国益例外を申請することができます。なお、空港によっては、自国の米国大使館や米国領事館に国益例外を申請しなくても、直接CBPに申請できることもあるので、入国予定場所のCBPの最新の入国条件と国益例外申請情報を確認する必要があります。
  • 第3国からの入国。その他には、入国制限のない第3国に14日以上滞在してからアメリカに入国することも検討できますが、アメリカの入国場所によっては、入国制限対象国を離れてから14日経過後に渡米の航空券を購入するようにアドバイスしているところもあるようです。つまり、CBPから航空会社に連絡がいき、渡航禁止国を離れてから14日以上が経過していても、14日が経過する前に米国行航空券を購入した場合、入国官によっては航空券購入時点でアメリカへの入国を試みたと判断し、米国行飛行機への搭乗を拒否することもあるようです。従って、第3国経由でアメリカに入国する場合で米国行航空券を事前に購入した場合は、米国行飛行機に搭乗できるか事前に航空会社に問い合わせた方がよいでしょう。問題があれば、他国での14日待機が終わってから航空券を購入し直すなどのオプションを検討したほうがよいでしょう。

【搭乗から72時間以内のコロナ検査】 国際路線渡航の場合、2歳以上の旅行者は、搭乗前の72時間以内に新型コロナのテストを受け、陰性結果証明を提示しなければなりません。アメリカに渡航する場合は https://www.cdc.gov/ を参照のこと。また、日本に帰国する場合は、日本の厚生労働省指定の検査証明用紙があるのでhttps://www.mofa.go.jp/files/100177968.pdf を参考のこと。

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このコラムは、Taylor English Duma法律事務所の大蔵昌枝弁護士によって執筆されています。大蔵弁護士へのお問い合せは下記の情報を参照下さい。

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