[大蔵弁護士による米国ビザ情報] H-1B抽選結果
2026年3月に行われた H-1B の抽選は、H-1B 制度悪用の抑制と高度人材受入政策により、従来の無作為な抽選から給与水準に応じた抽選制度に代わりました。複数企業による同一人物登録防止や海外からの新規採用に対する10万ドルの追加費用などの影響をうけ、本年度の H-1B 抽選登録件数は約21万1,600件へと激減し、前年比で約38.5%減となりました。特にこれまで H-1B の大半を占めていたインド系 IT コンサルティング企業に大きな影響を与えたものと思われます。
新制度では平均賃金レベルが上がるほど抽選回数が増えます。この高賃金所得者重視の制度は、高額給与を提示できる企業を優遇する一方、給与レベルが比較的に低い傾向にある新卒者、地方のスタートアップ企業、中小企業、非営利研究機関などにとって不利な構造となっています。また、本年度の審査では、大学の専攻分野と職務内容の関連性以外にも、応募者の実務経験や専門知識に関しても厳しく審査するようになりました。
当選企業は4月から6月の間に H-1B を申請することができますが、当選しなかった人は下記のオプションを検討することができます。
【H-1B 免除枠】大学機関、非営利大学と連携プログラムがある機関 (例:大学研修生を受入れている病院など)、もしくは政府や民間の非営利研究機関などは H-1B の年間枠が免除されます。これらの団体はいつでも H-1B を申請することができます。H-1B はパートタイム申請も可能なので、免除枠の H-1B が承認されれば、H-1B 年間枠対象の企業を第2雇用主として H-1B を申請することができます。枠免除企業の就労が続く限り、第2雇用主の就労を続けることができます。年間枠対象の企業だけで働くためには、第2雇用主が H-1B 抽選に当選しなければなりません。
【STEM/OPT 延長】F-1 学生の場合、OPT 就労許可書を12ヵ月間まで申請できますが、STEM 学位の学生は OPT をさらに2年延長することができます。STEM 学生は OPT を合計36ヵ月申請できるので、この間最多3回まで H-1B を申請することができます。ただし、追加24ヵ月の STEM-OPT 期間は60日以上非雇用状態が続くと OPT が失効するので注意が必要です。
【F-1 プログラム延長】OPT や STEM-OPT の残り期間が少ない場合、大学の他のプログラムに入学して別の学位レベルの OPT を再度申請することができます。また大学の企業研修プログラム、或は学位部門が大学外での雇用が学業に有益であると認めた場合は、CPT (Curriculum Practical Training) を申請することができます。ただし、CPT を12ヵ月間フルに使った場合は、OPT が申請できなくなるので注意が必要です。
【研修ビザ】
- J-1 企業研修 (経験有). 米国外の大卒で1年間の関連経験、或いは米国外で5年間の関連経験があれば、J-1 企業研修ビザを申請することもできます。研修期間は18ヵ月、ホテル・旅行などのホスピタリティー業の場合は12ヵ月までとなります。
- H-3 企業研修 (経験無). 研修に関連する学歴や職歴がない場合は、H-3 研修ビザがあります。ただし、H-3 は教室内研修が主体となるため、実地研修は最小限となります。研修期間は最長で2年間。2年間全部使った場合は国外に6ヵ月滞在しなければ H-1B や L ビザを申請することはできません。年間50人の申請者に発行される障害児特殊教育プログラムに参加する場合は18ヵ月までの研修となります。
- J-1 インターン. 米国外の大学入学後1年経過、或は米国外の大学卒業後1年以内であれば、米国企業で J-1 インターンビザを12ヵ月間まで申請することができます。
【L 関連企業間転勤ビザ】 OPT 期間終了後に米国外の関連会社で最低1年間専門経験を積み、1年後に L ビザを申請する選択肢もあります。尚、国外の雇用主とアメリカの雇用主は親子会社、同一株主による関連会社など、L ビザ関連企業の条件を満たす必要があります。
【E 条約ビザ】日本国籍保持者の場合、管理職或は専門的経験があれば、E ビザ条件を満たす日系企業がスポンサーとなり E ビザを申請する選択肢があります。
【日本人以外】カナダ・メキシコ人は TN ビザ、オーストラリア人は E-3 ビザの申請も検討できます。また、チリ・シンガポール人は、自由貿易協定 (FTA) に基づき H-1B 普通申請の6.5万枠の中から6,800枠が別枠として設けられているので、これらの国籍保持者であれば、この枠がなくなるまで H-1B の申請も可能です。
執筆者について
このコラムは、Pierson Ferdinand LLP 法律事務所の大蔵昌枝弁護士によって執筆されています。大蔵弁護士へのお問い合せは下記の情報を参照下さい。
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