[大蔵弁護士による米国ビザ情報] F-1学生の就労選択肢

2023年3月20日午後5時に新規 H-1B ビザ登録受付が終了しました。移民局のシステムの誤作動のために終了日が17日から20日に変更されました。3月末には H-1B の抽選が行われ、一般枠6万5千件、米国マスター枠2万件が選ばれます。当選した人は、4月から6月までの間に移民局に H-1B を申請します。H-1B の開始日は10月1日からとなります。もし6月末までに当選全員が申請を提出しなければ、残存枠に対してもう一度抽選があります。残存枠が償却されると、新規の H-1B 申請は終了します。

【H-1B 当選者】 H-1B に当選した F-1 学生の OPT が H-1B 申請中に切れる場合、その間就労を続けるためには下記の方法があります。

  • キャップ・ギャップ・エクステンション. H-1B の抽選に当選した人は、H-1B の受領通知書を学校のインターナショナル・オフィスの DSO (Designated School Official) に提示すれば、I-20 に H-1B を9月30日まで延長と記載してくれます。この自動延長期間は、H-1B が却下、拒否、もしくは取り消された時点で終了します。
  • STEM-OPT. Science, Technology, Engineering, Mathematics (STEM) など理数系専攻の学生であれば、次の条件を満たせば、OPT 期間をさらに24ヵ月間延長できます。(1) STEM 分野で学士、修士、博士の学位を取得済みである、(2) OPT就労資格で米国雇用主のもとで専門分野と関連した職務に従事する、(3) 雇用主は E-Verify 雇用資格確認システムに登録している。STEM-OPT は移民局に就労許可書 (I-765) と一緒に研修計画書 (I-983) を提出します。雇用主は学生の解雇や帰国を大学のインターナショナル・オフィスに報告する義務があります。

【H-1B 落選者】H-1B に当選しなかった F-1 学生が滞在資格を維持するためには下記の選択肢があります。

  • STEM-OPT. 理数系専攻の学生で STEM-OPT の条件を満たせば、OPT をさらに2年間延長する。
  • F-1 延長. 別の学位取得プログラムに入学し、F-1 滞在資格を延長する。OPT は各学位レベルに対して12ヵ月付与されるので、学士号取得者が修士号プログラムに入学すれば、入学後9ヵ月たてば再度 OPT を申請することができます。F-1 学生滞在資格を維持すれば、OPT 以外にも下記の選択肢があります。
    • CPT. CPT とは Curricular Practical Training の略で、授業の一環として学位単位取得を目的とする就労、或は就労経験が学位取得のために必要な経験であると学部が認めた場合に、9ヵ月以上在籍した学生が申請することができます。学部の許可をもらえれば、インターナショナル・オフィスの DSO が SEVIS システムに雇用期間を記入し、新たに I-20 を発行します。CPT はパートタイムでもフルタイムでも申請できますが、大学の単位取得のための就労でなければ、学期中は週20時間まで、夏休中はフルタイムで申請することができます。ただ、CPT をフルタイムで12ヵ月間以上利用した場合、OPT の申請資格を失うので注意が必要です。
    • ハードシップ. F-1 学生ビザで一年間フルタイム在籍した学生は、予期できない経済的困難に陥れば、ハードシップによる就労許可証を申請することができます。例えば、学費送金者が病気になり送金不能になった、自国の通貨価値が下落したなど、自分がコントロールできない理由により経済的困難がきたらされたことを証明しなければなりません。
    • 学校内での仕事. F-1 学生ビザは、学期中は週20時間まで、夏休中はフルタイムで学校内の仕事を就くことができます。例えば、大学の図書館、コンピューター室、カフェテリアなど、学生にサービスを提供するような職種が該当します。また、学部や教授が企業からリサーチ・プロジェクトなどを請負っている場合、修士号以上の学生は外部企業のリサーチ・プロジェクトに教授の助手として従事することができます。いずれも大学のインターナショナル・オフィスに校内就労許可を申請します。

【OPT の特急申請】新型コロナの影響で OPT の審査期間の大幅に遅れており、就労開始に遅れがでるなど問題が生じていましたが、2023年3月6日から OPT 就労許可証申請中の人は移民局に特急申請を要請することができるようになりました。4月3日からは就労許可書を新規に申請する人も特急サービスを利用することができます。特急申請料金$1500,30日審査となります。

【OPT の非雇用期間制限】注意すべき点は、12ヵ月の OPT 期間中に雇用が合計で90日以上中断すれば OPT が失効してしまいます。また、24ヵ月の STEM-OPT 期間は60日以上雇用が中断すれば、OPT が無効となります。従って、OPT 雇用中断期間が規定日数を超えないように心がけることが大切でしょう。

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このコラムは、Taylor English Duma 法律事務所の大蔵昌枝弁護士によって執筆されています。大蔵弁護士へのお問い合せは下記の情報を参照下さい。

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