[大蔵弁護士による米国ビザ情報] 米国入国時の注意事項
非移民ビザ保持者と同様、米国の永住権保持者もまた米国入国時に米国税関・国境警備局 (CBP) による検査の対象となります。永住権保持者は一般には非移民ビザ保持者ほど審査は厳しくありませんが、現在では米国市民以外の者は皆、過去の移民法違反事項、警察との接触歴、政治活動など、米国内での活動内容を厳格に審査されます。したがって、米国に戻る際には自分の権利を正しく認識することが大切です。
【帰還 vs 初期入国】米国に居住している永住権保持者が米国に戻る場合は、比較的無難に入国審査がされます。しかし、以下に挙げるいずれかの事由に該当すると判断された場合は、初期入国者と同様に厳しく審査されます。
- 米国永住権を放棄した、または喪失したとみなされる場合
- 米国を出国してから180日以上継続して不在であった場合
- 米国出国後に違法行為に従事した場合
- 強制退去または身柄引渡の手続きが進行中に米国を出国した場合
- 特定の犯罪行為を犯した場合 (移民法上の免除が認められている場合を除く)
- 審査を受けずに米国に入国しようとしている場合
【第2次審査】入国時に問題が生じた場合は、第2次審査質につれていかれます。第2次審査室では入国目的などをより詳細にきかれます。それ以外にも各種照会・検査、個人情報や生体認証データ (指紋や顔写真など) 採取、携帯電話、ノートパソコン、その他の電子機器の検査或いは一時的没収・保管、ソーシャルメディア上での活動内容の確認をされることもあります。その結果、入国資格に懸念を抱かれた場合は、身柄を拘束されることがあります。
【永住権放棄】国境審査官によっては、永住権放棄の書類への署名を強制される場合があります。永住権放棄申請はあくまで自発的なものでなければならないので、弁護士に相談なしに署名する必要はありません。また、裁判官による審査を受ける権利があるので、永住権放棄を強制するためには、政府は裁判官に対して明確かつ疑いの余地のない、説得力のある証拠を提示する必要があります。
もし永住権放棄書類への署名を拒否した場合、移民裁判所への出廷命令通知書を発行されます。もしその場でグリーンカードを没収された場合は、永住権保持者である証拠としてパスポートに I-551 スタンプを押してもらうように要請することができます。もしスタンプを押してくれない場合は、地元の移民局に予約を取り、I-551 スタンプの押印を申請することができます。
【拘束された場合】国境で身柄を拘束された場合にそなえて、自身の権利を把握しておく必要があります。入国不適格と判断された場合、あるいは永住権放棄申請書類への署名を拒否した場合、一晩拘留されたり、移民収容施設へ移送されたりする可能性があります。その場合でも、以下の権利が保障されていることを理解しておきましょう。
- 自国の領事館に連絡する権利があること。領事館は、弁護士や家族への連絡を支援してくれます。
- 弁護士との面会を求めることができること。政府側が弁護士への接見を拒否する可能性もありますが、記録に残すためにも、面会を求めておいたほうがよいでしょう。
- 黙秘権の行使、法的助言を得るまでは書類に署名しない権利があること。
- 各書類に関して、自分が理解できる言語で内容を確認する権利があること。
- 質問内容や書類内容を十分に理解できない場合は、通訳を求める権利があること。
- 国外追放対象である判断された場合、移民判事による審問を受ける権利があること。永住権が剥奪されるか否かは、入国官ではなく移民判事が判断します。
- 自身の政治的信条、所属団体、あるいは抗議活動参加など、合衆国憲法修正第1条によって保護されている活動に関する質問に対して回答を拒否する権利があること。
【拘束された場合】以下の問題がある場合は、渡航前に移民弁護士にご相談したほうがよいでしょう。
- 犯罪歴 (軽罪や逮捕歴を含む) がある、または現在進行中の刑事事件を抱えている場合
- 移民局または移民裁判所に対し、現在審査中の申請がある場合
- 過去に移民法違反歴がある、または入国管理局との間で問題があった場合
- 条件付き永住権保持者である場合
上記を踏まえ、渡航前に必ず弁護士と領事館の連絡先を控えて携帯するように心がけたほうがよいでしょう。また、事前に家族や知人に旅行日程を伝え、現地に到着したら連絡を入れること、また、もし身柄を拘束された場合は、弁護士か第三者に連絡を取れるように準備を整えたほうがよいでしょう。
執筆者について
このコラムは、Pierson Ferdinand LLP 法律事務所の大蔵昌枝弁護士によって執筆されています。大蔵弁護士へのお問い合せは下記の情報を参照下さい。
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