[激変し続ける米国労働市場] 5. バイリンガル人材の高齢化にともなうシニア層の活用

日本では少子化・高齢化・過疎化がここ10年の課題となっている。日本ではすでに人口減少の局面に入っている。日本のみならず韓国、近い将来は中国、否、大多数の先進諸国でも同様に人口減少の波は押し寄せてくる。

アメリカに在住する日本人人口は約40万人強。このうち最大多数が駐在員とその家族であり、滞在期間はおおよそ2年から5年。その数は事業計画や米国市場の景気により変動はあるが、コロナ禍で減少傾向にあると外務省統計にある。これに対して永住者の統計数値は微増ではあるものの果たして実態を正しく把握できているかどうかは定かではない。

話は変わって、アメリカの現地で就労を希望する圧倒的多数は永住者である。この永住者の高齢化が著しい。おそらくは日本の就労人口の高齢化と比較しても、その変化は恐ろしく早く訪れることになる。当レポートの②、並びに③で紹介したように、将来にグリーンカード保持者になる可能性のある留学生数の減少は、その後の H-1B そして永住者となる数字そのものを大幅に減少させている。

つまり、現状では新規雇用の人材の年齢層が急速に、そして大幅に高齢化していくことになる。アメリカに進出している日系企業では今後、シニア層を採用せねばならない事態が著しく増加していくのは明白だ。日系企業の駐在員年齢は同等か、あるいは若年化の傾向にあるが、自身よりも年齢の高い部下・同僚を採用することになる機会が増えるのは当然である。人材育成を重要視するのは日系企業の特徴ではあったが、これからは IT 化が進む時代の中で、高齢化傾向対策を視野に入れ、シニア層の経験を活かしながら、今の時代が求めるビジネスの手法に適応させていく努力が必要不可欠となる。


執筆
インテレッセインターナショナルグループ
社長 藤原昌人
1994年1月に人材会社の駐在員としてニューヨークに赴任。1996年の帰任命令に反して独立・創業。現在、全米11拠点、そして2022年から日本法人を設立し、日米双方で人材ビジネスを展開する。30年に及ぶ人材ビジネスでの知識と経験でビジネスに有益な情報を届ける。