[大蔵弁護士による米国ビザ情報] 新公的扶助負担規定
2026年9月18日、米国移民局は2022年に発表された公的扶助負担 (Public Charge) 規定を正式に撤回し、新たな審査基準を導入しました。これに伴い、移民局による永住権申請の審査において、新しい審査基準が適用されます。この変更は米国に居住する外国人は経済的に自立し、納税者が負担する公的給付に依存すべきではないという議会の意図に沿ったものと説明されています。
【Public Charge 規定】公的扶助負担規定とは、外国人が将来にわたり政府支援に依存する可能性が高いと判断された場合に、ビザや永住権の取得が認められない可能性があるという移民法上の規定です。永住権への滞在資格変更申請をする外国人は、法律上の免除規定に該当しない限り、この公的扶助負担審査の対象となります。
【対象者】2022年のバイデン政権下の公的扶助負担規則では、公的扶助の判断は比較的限定的であり、主に現金給付による所得補填や公費による長期介護への依存が重視されていました。多くの非現金給付プログラムは原則として不利な要素とはみなされませんでした。これに対し、2026年の新規定では所得制限のある公的給付 (means-tested benefits) の利用歴も審査要素として考慮される可能性があります。
対象となり得る給付には現金による生活扶助以外にも住宅補助、フードスタンプ (SNAP)、大学などの学資援助、その他類似する所得制限付き給付も考慮対象となります。ただし、公的給付を受けたことだけで永住権申請が自動的に拒否されるわけではありません。申請者の財政状況や専門技能など全体が総合的に評価されて、判断されることになります。
【審査官の裁量権】2022年規則は比較的明確な基準を設けていましたが、2026年の新規定では、法定要素に加え、年齢、健康状態、家族構成、資産・収入・財務状況、学歴・技能など関連するすべての事情が考慮され判断されるようになりました。具体的には、公的給付を受給以外にも安定した収入があるか、働く能力があるか、教育や職業技能を有するか、家族の支援体制があるか、将来的に経済的自立が可能か、などといった要素が総合的に評価されます。
【雇用ベース永住権への影響】EB-1、EB-2、EB-3 などの雇用ベースの永住権申請者も、法律上の免除がない限りは公的扶助負担審査の対象となります。申請者の雇用状況、収入能力、教育水準、技能、資産状況などが考慮され、将来的な経済的自立性が評価されます。 そのため、安定した雇用、より高い専門性、市場価値のある職務経験、および十分な所得見込みを示せる申請者は、有利に評価される可能性があります。
【Public Charge Bond】公的扶助負担となる可能性があると判断された場合でも、申請が直ちに却下されるわけではありません。申請者は、公的扶助保証金 (Public Charge Bond) の支払いを求められることもあります。これは、申請者が将来公的扶助に依存しないことを保証するための金銭的担保となります。保証金には現金保証金の支払い、或いは、米国財務省認定の保証会社による保証証書を利用することもできます。保証金の金額は、申請者が今後5年間に受給する可能性のある公的給付額などを考慮して決定されます。なお、保証金に関しては、移民局から却下予定通知 (Notice of Intent to Deny) を受け取った際に、通知書の文面で正式に保証金の提出を求められた場合に限られます。自発的に提出することはできません。
【注意事項】新規定では単に公的給付を利用の有無だけではなく、安定した雇用、十分な収入、資産、学歴・技能、適切なスポンサー支援など将来も含めて経済的に自立して生活できるかを証明できるように準備しておくことが重要です。
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