[大蔵弁護士による米国ビザ情報] 抽選永住権プログラム再開予定
2025年12月以降停止されていた抽選永住権 (Diversity Visa) プログラムの再開を求める訴訟が続く中、裁判所の命令に基づき、同プログラムの登録受付は2026年11月に開始される予定となっています。
抽選永住権プログラムは、1990年の移民法によって創設された制度で、米国への移民者数が歴史的に少ない国の出身者に対して、毎年一定数の移民ビザ取得の機会を提供することを目的としています。しかしながら、抽選に当選したとしても、自動的に移民ビザが発給されるわけではありません。当選はあくまでビザ申請資格を得るための第一段階であり、その後、申請者は米国国務省が定める各種要件を満たしていることを証明しなければなりません。まず、主要申請者は、高卒相当の学歴あるいは一定水準の職務経験を満たすことが条件です。さらに、重大な犯罪歴、移民法違反歴、虚偽申告歴が無いことが証明する必要があります。これらの要件を満たしていない場合、たとえ抽選に当選していたとしても、ビザ発給が拒否される可能性があります。
通常、DV プログラムの応募登録期間は、当選者が移民ビザを受け取る会計年度が始まる前に設けられます。2025年11月に米国国務省は2027年度の抽選永住権の登録開始を延期すると発表し、登録期間については準備が整い次第公表すると説明していました。ところが、2027会計年度が開始された2026年10月1日時点でも、抽選永住権の登録受付は実施されませんでした。このため、本来毎年実施されるべき抽選永住権プログラムが予定どおり運営されない可能性が浮上し、最終的には訴訟へと発展しました。
米カリフォルニア州連邦地方裁判所は、米国務省に対し、2027年度の抽選永住権の登録受付を2026年11月1日午前0時 (米東部時間) までに開始し、30日間実施することを命じる仮差止命令を発令しました。また、2026年10月29日午前0時 (米東部時間) までに国務省ウェブサイト上で事前告知を行い、登録開始日・終了日および応募資格などの詳細を掲載すること;さらに、抽選永住権登録期間終了後、2026年12月3日午前0時 (米東部時間) までに当選者へ通知を行うことを命じました。当選者の移民ビザ申請については、年間割当数に達するまで、または2027年9月20日のいずれか早い時点まで、通常の手続きに従って適時処理することも求めています。
2026年10月19日、政権側はこの判決に対して控訴を申し立てました。併せて、控訴審理が続く間、下級裁判所の命令の効力を停止するよう執行停止 (stay) を求めました。しかし裁判所は、政府側の要請を直ちには認めず、命令の効力を停止しませんでした。
2026年10月22日、政府の控訴に続き、米国連邦議会においては、セルフ下院議員が抽選永住権プログラムを恒久的に廃止しようとする法案を提出しました。しかし、現時点ではこの法案は単なる立法提案の段階にあり、まだ議会で可決されておらず、法律として成立していません。法案提出だけで抽選永住権プログラムが消滅するものではないため、法案が実際に成立するまでは、現行法および裁判所命令は引き続き有効となります。したがって、この法案が提出された後も、国務省には2027年度の抽選永住権プログラムを実施する法的義務があります。
その結果、政権側がその義務に異議を唱えながら争いを続ける中でも、2027年度の抽選永住権の登録開始手続きは進行することとなりました。このように、政権側の控訴と裁判所命令が並行して進む中で、今後の政府の動きや上級裁判所の法的判断を見守りながら、判決に応じて対応する必要があります。
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