[激変し続ける米国労働市場] 1. 中西部におけるバイリンガル人材の欠乏
インテレッセインターナショナルグループ社拠点の中には、開設当初からバイリンガル人材が少ない地域があります。その代表例がアメリカ中西部です。通常、中西部で最初にオフィスを構える都市と言えば、シカゴが考えられますが、当社は2005年にシンシナティー郊外に最初のオフィスを開設しました。理由は、中西部にある日系企業の約5割が、インディアナ・オハイオ・ケンタッキーの3州に存在しているためです。シンシナティーオフィスを開設した時、社員からは「登録される求職者がいるのでしょうか?」という声もありましたが、バイリガル人材会社が少なく順調な滑り出しでした。ところがここに来て、バイリンガル人材の欠乏は難題の一つとなっています。
リーマンショック後に全米の失業率が10%に達し、米国人の雇用創出を最優先とした景気刺激策の一方で、米国での就労を希望する外国人向けの就労ビザ申請が厳しくなり始めました。オバマ政権の終盤には、リーマンショック前の5%の失業率まで戻ったものの、トランプ政権下では、あろうことか外国人就労許可条件をより一層厳しいものにしたのです。米国への移民人口が極端に少ない日本社会にとって、この10年間の就労ビザ締め付けはバイリンガル人材の就労の可能性をますます厳しいものにしています。米国進出をしている日系企業にとって、本当に頭の痛い問題が続いているのです。
執筆
インテレッセインターナショナルグループ
社長 藤原昌人
1994年1月に人材会社の駐在員としてニューヨークに赴任。1996年の帰任命令に反して独立・創業。現在、全米11拠点、そして2022年から日本法人を設立し、日米双方で人材ビジネスを展開する。30年に及ぶ人材ビジネスでの知識と経験でビジネスに有益な情報を届ける。