アメリカ雇用法:2025年最新版
アメリカの雇用市場は、「随意雇用(At-Will Employment)」と「フリーマーケット原理(Free Market Principle)」という仕組みで動いており、それに沿ってさまざまな雇用法が制定されています。日本とはちょっと異なるアメリカの雇用法はアメリカで就職する際に絶対に知っておきたいポイントです!さらに、2025年までに予測されている雇用市場のトレンドを押さえれば、未来のキャリアプランで一歩リードすることも可能です。アメリカで理想のキャリアをつかむための秘訣を一緒に探ってみましょう!

随意雇用(At-Will Employment)とは?
随意雇用とは、雇用主と従業員の双方が「いつでも」雇用関係を終了できる制度です。日本では正規雇用者を解雇するには正当な理由が必要とされますが、アメリカでは以下のような特徴があります。
・雇用主は理由を示さずに従業員を解雇できる
・従業員も理由を問わずに退職可能
現在、アメリカでは労働者の約74%が随意雇用のもとで働いており、労働市場の柔軟性を支える制度となっています。アメリカで一般的とされている、「Two Week Notice(二週間前通知)」でさえ法律上の義務ではなく、ビジネスマナーに過ぎません。
随意雇用の例外
以下の要因により、随意雇用が制限される場合があります。
・契約の存在:書面や口頭での雇用契約がある場合
・不当解雇:人種、性別、年齢、障害などの差別的解雇は禁止されています
・公序良俗違反:内部告発や法的権利行使に対する報復行為は禁止されています
解雇が不当であると考えられる場合、EEOC(雇用機会均等委員会)や州の労働局に相談することが推奨されています。
フリーマーケット原理(Free Market Principle)とは?
アメリカの一部の州では、雇用法の制定を極力控え、労働市場を供給と需要のバランスによって自然に調整する方針を取っています。
メリット:
・市場の需要に応じたより良い給与や待遇の仕事を見つけやすい
・自身のスキルやキャリア目標に合った職場への転職が容易
・競争原理により特定の業界や地域で賃金上昇が期待できる
デメリット:
・雇用の安定性が低く、突然の解雇リスクがある
・競争が激しく、賃金が抑えられたり福利厚生が限定的になる可能性がある
・最低賃金法や労働安全規制を軽視する雇用主も存在する
このように、フリーマーケット原理には柔軟性と競争力向上のメリットがある一方で、労働者自身のリスク管理が不可欠です。

最低賃金について
アメリカでは連邦法により最低賃金は1時間あたり$7.25と定められています。しかし、多くの州や都市では独自の最低賃金を設定しており、地域によって大きな差があります。
最低賃金の高い州(2025年現在)
・カリフォルニア州:$16.00(主要都市ではさらに高い)
・ニューヨーク州:NYC、ロングアイランド、ウェストチェスターは$16.00、
それ以外の地域は$15.00
・ワシントンDC:$17.50
テキサス州の最低賃金(2025年現在)
テキサス州の最低賃金は連邦最低賃金と同じく、時給 $7.25(2025年現在)に設定されています。ただし、市場の競争や人材不足の影響により実際の時給が最低賃金を大きく上回ることが一般的です:
・ファストフード業界:$12〜$14
・小売業:$13〜$15
・倉庫・物流:$15以上
これはフリーマーケット原理が働いている良い例と言えます。
就職を希望している州の最低賃金、そしてマーケットのレートを正しく理解して、必要とあれば給与の交渉などを行いましょう。

オーバータイム(時間外労働)について
連邦法(FLSA)では、週40時間を超える労働に対し1.5倍の賃金を支払う義務があります。ただし、職種(管理職や専門職かなど)により例外があるためこちらも注意が必要です。
Non-ExemptとExemptの違いについて
まずは、従業員の分類について解説します。アメリカでは、従業員は大きくふたつのカテゴリーに分けられます:
Non-Exempt(非免除職)
主に時給制または年俸制の従業員を指します。特徴として、残業代が1.5倍で支払われることが挙げられます。仕事内容は専門性が比較的低く、部下を持たないポジションが一般的です。
Exempt(免除職)
管理職や専門職など、特定の条件を満たす年俸制の従業員を指します。このカテゴリーの特徴は、残業代が適用されないことです。以下のような職種が該当します:
- エグゼクティブ(管理職):
部下を管理し、経営に関わる重要な判断を行うポジション。 - プロフェッショナル(専門職):
医師、弁護士、エンジニア、教師など高い専門知識が求められる職種。 - アウトサイドセールス(外回り営業):
主に社外で営業活動を行う職種。
まずは、自分がどちらに分類されるかを理解することから始めましょう。
Exemptの場合なら最低給与を受け取っているかを、Non-Exemptの場合は正しく残業代が計算されているかを確認する必要があります。
ExemptのMinimum Salary(最低給与基準)について
Exemptの労働者は、オーバータイム(残業代)の支払い義務が免除されるカテゴリーに該当しますが、そのためには一定の条件を満たす必要があります。特に給与は最低基準が設定されています。
連邦法の最低給与基準
・$35,568(2025年現在)
・月額にすると約$2,964で、週40時間勤務で計算した場合、時給換算すると約$17.12になります。
州ごとの給与基準
州によっては、連邦法より高い最低給与基準を設定している場合があります。以下は一部の州での例です:
- カリフォルニア州:$68,640/年($1,320/週)
- ニューヨーク州(NY市・周辺):$64,350/年($1,237.50/週)
- その他の地域:$60,405.80/年($1,161.65/週)
- ワシントン州:
- 従業員50人以下の企業:$69,305.60/年($1,332.80/週)
- 従業員51人以上の企業:$77,968.80/年($1,499.40/週)
各州の規定は毎年見直されるため、最新情報を確認しましょう。
州ごとのオーバータイム規制(2025年現在)
連邦法により、週40時間を超える勤務の時給は1.5倍の額が支払われなければなりません。
- 連邦基準より厳しい州
- カリフォルニア州:1日8時間超で時給の1.5倍、12時間超で2倍
- コロラド州・アラスカ州:1日12時間超で時給の1.5倍
- ネバダ州:最低賃金の1.5倍未満の労働者は1日8時間超で1.5倍
Non-Exemptの場合、必ず残業代のレートを確認しましょう!

Pay Transparency Law(給与の透明性についての法律)
求人情報や社内での給与情報の開示を義務付ける法律 で、特に給与格差の是正 を目的としています。多くの州で導入されており、雇用主は公平で透明性のある賃金体系 を求められます。
州ごとの規制
- 厳しい州(給与範囲の事前開示義務あり)
- カリフォルニア州、ニューヨーク州、コロラド州、ワシントン州:求人広告に給与レンジを明記することを義務化。
ニューヨーク市:従業員4人以上の企業は給与情報を公開する必要あり。
- カリフォルニア州、ニューヨーク州、コロラド州、ワシントン州:求人広告に給与レンジを明記することを義務化。
- 求職者が要求した場合にのみ開示義務あり
- コネチカット州、ネバダ州、メリーランド州、ロードアイランド州 など
- 規制なし
- テキサス州、フロリダ州、ジョージア州 など
前職のお給料などを聞くことも禁止されている州が多いので、インタビュー前に確認しましょう。
健康保険について
アメリカでは連邦法「Affordable Care Act(ACA)」により、週30時間以上の勤務を3か月以上継続する場合、従業員数50人以上の企業は健康保険を提供する義務があります。一方、50人以下の企業では義務ではないため、各企業の福利厚生によって保険提供状況が異なります。
健康保険が必要な家族がいる場合、企業がどのくらい保険料を負担してくれるかなども就職・転職をする際には重要なポイントになります。
健康保険に加入しやすい州
- ハワイ州:「Prepaid Health Care Act」により、週20時間以上働く従業員には健康保険提供が義務付けられています
- マサチューセッツ州:州独自の個人保険義務制度があり、低所得者向けの補助が充実しています
- ニューヨーク州:「Essential Plan」により低所得者向けの手頃な保険プランが用意されています

まとめ
アメリカの雇用制度は柔軟性に富んでいますが、州ごとに労働規制や待遇が異なるため、最低賃金や福利厚生などの条件を事前にしっかり確認することが重要です。
ポジションについて確認すべきポイント
・募集されている仕事はExemptそれともNon-Exemptか?
・州の最低賃金やマーケットレートの確認
・年俸だけでなく、雇用主がオファーする福利厚生(とくに健康保険)も比較
転職や就職に関して不安や疑問がある方は、ぜひiiicareerにご相談ください!あなたのスキルや経験、目指すゴールに応じた最適なキャリアプランを一緒に考え、全力でサポートします。履歴書のレビューから面接対策、さらには将来のキャリア設計まで、幅広くお手伝いします!