[大蔵弁護士による米国ビザ情報] 雇用スポンサー永住権申請カテゴリー
米国永住権 (通称 “グリーンカード”) の申請方法には、大まかには家族スポンサーによる申請、抽選による申請、雇用主スポンサーによる申請、亡命者による申請などがあります。ここでは雇用主スポンサーの種類について解説します。雇用主スポンサーによる永住権の申請には下記の5つの優先枠があります。
【第1優先枠】
- Extraordinary Ability (EB1-1). 科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツ等の分野で世界的に傑出した業績保持者。例:ノーベル賞やアカデミー賞受賞者、オリンピックメダリスト、画期的な発明者等。
- Outstanding Researcher (EB1-2). 研究能力や業績が国際的に評価され、その研究分野で最低3年間の教職か研究経験、さらに大学で教職もしくは研究機関や私企業で同等の研究職に従事経験有。
- Multinational Manager (EB1-3). 海外の関連会社で渡米前の3年間の内1年以上の上級管理職に就き、さらにアメリカでも上級管理職として赴任している者。
【第2優先枠】
- 高度学位・卓越能保持者. 科学・教育・ビジネス分野で有能な人材、或は大学院以上の専門職従事者。
- National Interest Waiver (NIW). アメリカの国益に貢献する者。
【第3優先枠】 学士号保持者、 熟練・非熟練労働者等。
【第4優先枠】 宗教活動従事者等。
【第5優先枠】 投資による申請。
日本人やアメリカの大卒者がよく使う第2・3優先枠の申請は、3段階の申請過程を経ます。
- 労働許可申請. まずは労働局に当該ポジションに対する平均賃金を申請し、次に地元のメディアに求人広告を掲示します。地元の労働局への30日の求人、地元日曜新聞に2回掲示、社内で10日間の掲示を行います。大卒を必要とするポジションであれば、さらに3つのメディアに求人広告を掲示します。求人広告掲示後、応募者の履歴書をレビューし、米国市民や永住権保持者で最低資格条件を満たす人材がいないことを証明できれば、労働局に外国人労働許可申請 (Labor Certification Application) の申請を行います。
- 雇用主スポンサー移民申請. 労働許可申請が承認されたら、次に雇用主が移民局にスポンサー申請を提出します。
- 第1優先枠. 第1優先枠の人は、労働局への労働許可申請を免除されるので、移民局に雇用主スポンサー申請と永住権の申請を提出することができます。
- NIW. 第2優先枠のNIWも労働局への労働許可申請を免除されますが、労働許可申請書類を雇用主スポンサー申請と一緒に移民局に提出します。
- 個人申請. 雇用スポンサー申請は通常雇用主が労働許可申請と雇用主スポンサー申請を行いますが、上記のうち Extraordinary Ability (EB1-1) と NIW (EB2) は自己申請を行うこともできます。特に大学の正社員ではない研究者などは、これらのカテゴリーで自己申請することも検討できます。
- 永住権申請. 最後に本人と家族による永住権 (グリーンカード) の申請を移民局に提出します。
- 米国内で合法的な滞在資格を保持していれば、移民局に永住滞在資格への変更申請を提出します。永住権の国別枠による待時間がなければ、雇用主スポンサー申請と永住権申請を同時に提出することができます。永住権申請と同時に就労許可証と旅行許可証も申請します。また、トランプ政権により永住権申請者全員に面接が義務付けられたので、面接時に引き続き雇用主の雇用オファーが有効であること、過去に犯罪歴や違反歴がないかなどを確認されます。
- 米国外にいる人は、米国大使館か米国領事館を通して永住ビザの申請をします。
尚、永住権申請の各過程の審査時間がコロナの影響で大幅に遅れています。移民する意思を示すことを許されている L ビザと H1B ビザ以外のビザ保持者は、永住権申請書類提出後は、第3段階で申請した旅行許可証を入手するまで、国外にでられないので注意が必要です。また、L ビザと H1B ビザ以外のビザ保持者は、永住権申請書類提出後は、永住権申請中に滞在資格が失効したら、就労許可証が届くまで就労することができないので、事前にあらゆる可能性を検討し、十分に計画することが大切です。
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このコラムは、Taylor English Duma 法律事務所の大蔵昌枝弁護士によって執筆されています。大蔵弁護士へのお問い合せは下記の情報を参照下さい。
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